おとうとのジャケット写真

東京の私鉄沿線、商店街の一角にある高野薬局。夫を早くに亡くした高野吟子(吉永小百合)は、女手ひとつで一人娘の小春(蒼井優)を育てながら、義母の絹代(加藤治子)との三人で暮らしている。小春とエリート医師との結婚が決まり、一家は幸せの頂点にあったが・・・

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

スタッフ・キャスト

監督:山田洋次
脚本:山田洋次 平松恵美子
音楽:冨田勲
出演:吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮

薬局の一人娘・小春の結婚

東京の下町で小さな薬局を経営する高野吟子(吉永小百合)は、娘と姑の女三人で静かに暮らしています。彼女は早くに夫を亡くし、夫の母親・絹代(加藤治子)の面倒を見ながら、女手ひとつで一人娘・小春(蒼井優)を育ててきました。その小春はエリート医師との結婚が決まり、結婚式を間近に控えています。吟子は大阪に住む弟・鉄郎(笑福亭鶴瓶)に案内状を送りましたが、宛先不明で送り返されてきました。

鉄郎は小春の名付け親です。大阪で喜劇役者を目指していますが、芽が出ないまま風来坊のような生活をしています。そして10数年前の吟子の夫の十三回忌で、酒を飲んで大暴れしてからは、親族の鼻つまみ者になっていました。姑の絹代は、「来なくていい」と鉄郎を毛嫌いしています。

※吉永小百合さんの上品な美しさには、驚かされます。とても60を過ぎているとは思えないほど、若々しいですね。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=DAEhPjzB8l0

鉄郎のせいで披露宴はめちゃくちゃに

そして結婚式当日、和やかな雰囲気の中で披露宴は進んでいきます。そこに突然、羽織袴を着こんだ鉄郎が現れました。吟子の兄・庄平(小林稔侍)は鉄郎を追い返そうとしますが、吟子は兄をなだめ、鉄郎の列席を認めるようお願いします。そこで庄平は、アルコールを一切飲まないことを条件に、しぶしぶ了解しました。

最初は大人しくしていた鉄郎でしたが、乾杯のシャンパンの誘惑に勝てず飲んでしまいます。一度飲むと、その勢いは止まりません。次々と披露宴スタッフにお酒を持ってこさせ、気づいたらグデングデンに酔っ払っていました。酔った鉄郎は勢いでマイクを奪い、勝手にスピーチをしたり浪曲を歌ったりと、やりたい放題。

そしてついにテーブルをひっくり返し、披露宴をめちゃくちゃにしてしまいました。結婚相手のご両親はカンカンに怒り、吟子と庄平は式の後で必死に謝罪し許してもらいました。しかし、怒った庄平は鉄郎に絶縁を言い渡します。

※借り物の羽織袴で乱入してきた鉄郎、酒にだらしない男の役を鶴瓶さんが熱演しています。

鉄郎の借金

披露宴の一件をきっかけに、小春の結婚は早々に破綻してしまいました。傷心の小春は自宅の薬局に戻り、再び女三人の静かな生活を送っていました。そこにある日、鉄郎の恋人だという女性がやってきます。鉄郎は彼女に借金を作ったまま、雲隠れしてしまっていたのです。女性は鉄郎直筆の借用書を見せ、少しでも返して欲しいと吟子に頼みます。吟子は薬局の改修のために、コツコツと貯めていた貯金を下ろし、彼女に渡しました。

そして数日後、音信不通だった鉄郎がフラリと現れました。女性への借金について問う吟子に、鉄郎は女性の悪態をつき言い訳ばかりします。その不誠実な態度に怒った吟子は、今度こそ鉄郎と絶縁を申し渡します。

※ここでの鉄郎は本当に嫌な奴で、見ていても不愉快になるほどです。

鉄郎が倒れたとの知らせ

その日以来、鉄郎の音信はプッツリと途絶えてしまいます。鉄郎の話が出ることもなくなり、静かで平和な生活を送っていましたが、吟子は密かに鉄郎の捜索願を出していました。吟子はあの日、鉄郎が変な咳をしていたことが気にかかっていたのです。

そして心の傷も癒えた小春は、かつての同級生で大工の長田亨(加瀬亮)と、徐々に惹かれ合っていきました。いよいよ小春の再婚が決まりそうな時、突然、警察から鉄郎が倒れ病院に担ぎ込まれたと連絡が入ります。驚く吟子、小春はなぜ捜索願を出したのかと吟子に詰め寄ります。すると吟子が言いました。「あなたのお父さんが鉄郎に名付け親になって欲しいと言ったの、たまには 鉄郎君に花を持たせてやろうって。」

そして吟子は、急いで大阪に向かいました。

※鉄郎のことを吟子が小春に説明するシーンで、「上の2人は鉄郎を踏み付けにして成長してきたのでは。彼は子供の頃から全く誉められたことが無いのでは。」という言葉がありますが、それで負い目を感じるというのは、どうも納得できません。

鉄郎の最期

鉄郎は末期がんに侵されており、余命いくばくもない状態でした。警察の案内で、鉄郎が引き取られた民間ホスピス「みどりのいえ」を訪れた吟子に、鉄郎は会いたくないと言います。それでも吟子が鉄郎の病床を見舞うと、自分の惨めな姿を見られたくなかった鉄郎は「帰ってくれ、もう堪忍や」と、吟子を拒否しました。ホスピスの所長の話では、鉄郎は自分の死期を4月7日と決めているようです。

吟子は鉄郎が借りていたアパートを訪れ家賃を清算します。そして翌日鉄郎を再び見舞ったあと、東京に帰りました。4月6日、ホスピスから鉄郎の危篤の知らせが入り、急いで大阪に向かう吟子。鉄郎の大好物の鍋焼きうどんを食べさせ、付きっ切りで看病します。小春も婚約者・亨の車で大阪に向かいます。翌日、駆け付けた小春と吟子が見守る中、鉄郎は息を引き取りました。

それからしばらくして、女三人で小春の結婚のささやかなお祝いをしている中、姑が言います。「小春の二度目の結婚式にあの変わり者の弟を呼んであげないとかわいそうだ。お酒さえ飲ませなけりゃいいんだから呼んでやったら?」姑の心遣いに涙する吟子でした。

※点滴に焼酎を入れる鉄郎、奇想天外なことを考えますね。映画全体を通して、吉永小百合さんの甘すぎるほどの優しさとともに、鶴瓶さんのろくでなしぶりも際立っています。

おとうとの作品情報

おとうとのジャケット写真

レンタル開始日
2010/08/04
監督
山田洋次
キャスト
吉永小百合 笑福亭鶴瓶 蒼井優 加瀬亮 小林稔侍 森本レオ
上映時間
126分
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おとうとのユーザ評価

評価数:307件
評価 :★★★☆☆(3.6/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 同じ兄弟でもなんでこうも違うんだろう、
    しっかり者の姉、どーしようもないほどダメなおとうと。まわりから煙だかられ嫌われもののおとうと。娘の結婚式で大暴れ、借金作って消えて肩代わり。なのに、見放さず、なにかあればかけつける。
    こんなお姉さん素敵すぎます。
    どんなことあってとも、血を分けたおとうとだもの、ほっとけないと最後まで側にいてあげました。
  • 観る前に、吉永小百合さんと笑福亭鶴瓶さんが実の姉弟役ということで一番興味があったのが、見た目のギャップよりも、吉永小百合さんがおかしな大阪弁をしゃべるのではないだろうか?はたまた笑福亭鶴瓶さんが大阪弁交じりのおかしな標準語をしゃべるのではないだろうか?と言うことでしたが、特に気になるほどでも無く、標準語の吉永小百合さんが笑福亭鶴瓶さんと話す場面でチョコチョコ大阪弁アクセントの言葉が混じる感じが大阪を離れ東京で暮らす人が大阪弁をしゃべる人の前で大阪弁をつられて話してしまう様がよく出ていました。そして、大阪のミドリの家の小日向文世さんと石田ゆり子さんにもけったいな大阪弁をしゃべらせず標準語であったのがナイスです。あそこで無理やりけったいなイントネーションの大阪弁をしゃべられようならおじゃんです。しかし、ラストおとうとが亡くなるシーンではおとうとのシリアスな演技に多くの人が涙したかも分かりませんが、大阪の人は案外、TV番組であれこれ撮影時のエピソードを語る鶴瓶さんが被って結構涙どころではないのではないでしょうか。「小春」古臭いイメージが有りますが、別に恥じるような名前ではないではないかと思われる人が観るのに適した作品です。
  • 「母べえ」に続いて、またまた、素晴らしい感動を与えてくれる作品だった。
    「母べえ」は、戦争を通じて、家族が離れ離れになりつつも、人がつながりながら生きていくことを描いていたが、この「おとうと」も、人が死ぬとはどういうことかをきっちりと描きつつ、同じく人がつながりながら生きることへの賞賛となっていて、両者は対をなす作品だと言えるだろう。
    「母べえ」に出てきた変なおじさん(鶴瓶)が主役となるが、着想としては、寅さんに同化しているのは明白。とくに、前半の結婚式をめちゃくちゃにするくだりあたりなど、そっくりである。
    このほかにも、山田監督らしいエッセンスが随所に見られた。たとえば後半の、施設やその職員の様子なども、山田監督らしい描き方。
    キャストでは、蒼井優がとても良い。何かこう、のびのびとしていて、かつ自然な感じで、優しさ、悲しさ、うれしさが、こちらに伝わってくる、素晴らしい演技だった。

主演:吉永小百合の名作「北の零年」もオススメ!

吉永小百合さんと言えば、思い出すのが第29回アカデミー賞を総嘗めした2004年公開の映画「北の零年」。明治初期、徳島藩の稲田家が起こした抗争「庚午事変」により、稲田家は北海道への移住を、政府より命じられます。暖かく温暖な徳島に育った一族には、雪に閉ざされた北海道の生活は、想像を絶するほど過酷なものでした。渡辺謙さん演じる夫・小松原英明を必死で助け、夫に裏切られた後も逞しく生きる志乃を吉永小百合さんが演じています。この映画では渡辺謙さんが、珍しく卑怯な悪者で登場します。「おとうと」で弱弱しいほど優しい女性を演じた吉永小百合さん、「北の零年」の志乃役の方が彼女らしい気がします。

北の零年の作品情報

北の零年のジャケット写真

レンタル開始日
2005/07/08
監督
行定勲
キャスト
吉永小百合(小松原志乃) 豊川悦司(アシリカ) 渡辺謙(小松原英明)
上映時間
169分
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北の零年のユーザ評価

評価数:265件
評価 :★★★☆☆(3.3/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 邦画版「コールドマウンテン」っていう雰囲気の作品でしたね。
    出演者の中では、久々に見たトヨエツが良かったなあ。小百合さんがピンチに
    なると、どこからともなく現れて助けてくれる。内側に秘めた愛情がいいです
    ね。しかし、いつの時代も女性は強くたくましいです。
  • 北海道開拓という過酷な歴史を割りと綺麗に描いています。
    しかし政府に翻弄される一般市民、冬の厳しさなどは伝わると思います。
    人間関係のごたごたはともかく、先人達の苦労がしのばれる映画で、北海道を見る目が少しだけ変る映画です。
    私はとても良かったと思います。
  • 明治政府により淡路島から北海道へ移住を命じられた人々の物語。
    小松原英明(渡辺謙)と小松原志乃(吉永小百合)と娘の多恵(大後寿々花)。
    未開の地を耕し、ここに自分たちの国を作ろうと必死に働く。
    この地に昔から住むアシリカ(豊川悦司)は、
    生きてる意味ないと嘆いていたから、
    自分を見つめ、新しい生き方を見つけるためにアシリカと名付けられた。
    そんなアシリカが熊に襲われそうになった多恵を救う。
    志乃との交流も深め、生きる意味を見い出していくアシリカ。
    1年目の冬、多恵のいいなづけが最期に、
    淡路の花が見たいと言って、
    多恵が着物を切って作る花のシーンが切なくも美しかったです。
    やっぱり謙さんはサムライ姿が似合ってたし、
    小百合ちゃんとの夫婦も意外といいなあと感じました。

参考URL
・youtube.com