それでもボクはやってないのジャケット写真

就職活動中の金子徹平(加瀬亮)は、会社面接に向かう満員電車で痴漢に間違えられて、現行犯逮捕されてしまった。徹平は警察署での取調べで容疑を否認し無実を主張するが、担当刑事に自白を迫られ、結局拘留されてしまうことになる。

監督:周防正行、脚本:周防正行、音楽:周防義和、出演:加瀬亮(金子徹平) 役所広司(主任弁護人) 瀬戸朝香(新人弁護士)

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

突然の逮捕

26歳のフリーター徹平は、ある朝就職面接に向かうため満員電車に乗っていた。目的の岸川駅について電車を降りた時、突然女子学生から袖をつかまれ「痴漢したでしょ!」と言われる。濡れ衣だと訴える徹平だが、駅員がやってきて有無を言わさず駅員室へ。それからあれよあれよという間に事は進み、気が付くと警察の取り調べを受けていた。

担当の刑事山田は、高圧的な態度で自供を迫る。しかし身に覚えのない徹平はあくまで否認をつらぬき、結局その日は留置所で過ごすことに。同じ房にいた怪しげな男から教えられ、当番弁護士を呼んだ徹平は、「自分はドアに挟まった上着を取ろうと身動きしていただけ」と事情を説明するが、逆に衝撃的な事実を告げられる。例え否認していても、起訴されて裁判になれば有罪確率は99.9%。一方罪を認めて罰金を支払えば、すぐにここを出ていける、と。

信じられない言葉に動揺する徹平だが、やってないものは認められないと、やはり否認を貫くのだった。その後も取り調べや検事の聴取が続く中、徹平は友達の達夫に連絡を取る。達夫は徹平の母:豊子とともに奔走し、元裁判官の荒川に弁護を依頼。同じ事務所の女性弁護士・須藤と共に弁護にあたることになる。荒川は徹平に、取り調べの際の注意や、事件当日の状況をメモしておくようアドバイスするのだった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=ccmaet30GWU

人質司法

否認を続ける徹平は、相変わらず留置所に拘留されていた。荒川はこうしたやり方を「人質司法」と呼ぶのだと教える。身柄を人質に自供を得る方法で、そんな卑劣なやり方に屈してはいけないと。徹平は不起訴に一縷の望みをかけていたが、その願いは空しく打ち砕かれる。

とうとう裁判が決定という中、達夫と豊子は、やはり痴漢冤罪で一審無罪を勝ち取った佐田という男に連絡を取る。佐田の勧めで達夫らは、事件当時徹平の潔白を証言しようとした女性を探すことに。その女性は車内で徹平の右隣におり、彼の行動を見ていたのだが、駅員は彼女の話を聞かずに追い返してしまったのだった。

そしていよいよ第一回の公判が開始。検察側が犯行を告発するのに対し、徹平はそれを否認。次回公判では山田刑事の証言が行われるが、それは実際の内容とは異なり、自白の強要はしていないというものだった。達夫や豊子は、須藤から警察の捜査がいかにずさんかを説明される。

そして第三回公判。今回は被害者の女子中学生の証言が行われ、パーテーションで仕切られた中、事件の状況を説明する。被害者の俊子は犯人の右手を掴んだが、その手は後ろに抜かれ、その方向を振り向くと同じような袖の色の徹平がいたのだという。しかし、俊子は荒川の追求によって、抜かれた手の行方を一瞬見失ってしまった事実を認める。

再現ビデオ

拘留開始から4ヵ月後、徹平の保釈がようやく認められた。保釈金は200万で、豊子が立て替えてくれたものだった。一同がそろった席上で、荒川は当日の車内を再現したビデオを撮影するよう提案する。そんな中、徹平側にはショックな出来事が。慣例に反して無罪判決を多く出すことで知られていた担当裁判官・大森が、突如交代させられたのだった。

今度の裁判官・室山は、うって変わって事務的な態度を徹底。裁判の風向きが怪しくなる中、徹平らは佐田や知人の協力を得て証拠ビデオを撮影する。そこで分かったのは、犯人が徹平なら、俊子の言うように掴まれた手を真後ろに引くことはできないということだった。

ドアにぴったり押し付けられていた徹平には、それだけの空間的余裕がない。強力な証拠を得て、安堵の色を浮かべる徹平たち。次の公判では徹平の証言が行われる。荒川の質問に答える形で、当日の行動を説明する徹平。「なぜ目的の駅で自分側のドアが開くのに、一生懸命上着を抜こうとしたのか」と訊かれこう説明する。「普段乗車する駅のドアは、岸川駅と逆の方が開く。それで岸川で降りる際は車内を横断する形になるが、今回は持ち物を確認するため、手前の駅で一旦降りていた。しかしあわてて再乗車したので、今度は逆側に乗ったのを忘れてしまい、岸川では反対方向のドアが開くと勘違いしていた」のだと。

それでもボクは…

しかし、裁判官はそうした証言もまったく響かない様子で、逆に徹平を犯人と決めつけたような質問を投げつけてくる。しかも検察からは、自宅から押収した痴漢もののAVなどを証拠として出され、徹平は恥ずかしさに身もだえるのだった。これはまさに地獄…。

全く被告の言葉を聞こうとしない裁判官の心理を、荒川はこう説明して見せる。「頭のいい人間ほど、目の前の人間に騙されまいと疑ってかかる。まして毎日嘘つきを相手にしていればなおさらだ」と。佐田も自身の経験を例に出し、法廷がいかに特異な場所かをしみじみと語るのだった。

次回公判では撮影した証拠ビデオを流し、形勢逆転に望みをかける。そんな中、ずっと探していた事件の目撃者が自ら名乗り出て来た。その女性・市村は証人として法廷にも立ってくれるが、彼女の証言が裁判官にどう響いたのかはまったくうかがえない。

最後の審理の日、徹平は用意したメモを読み上げつつ、自らの潔白を強く訴える。そしていよいよ、運命の判決の日。しかし下された判決は、執行猶予付きの懲役3ヵ月というものだった。裁判官が淡々と判決文を読み上げる中、徹平は心の中でこう考える。「裁判は真実を明らかにする場所なんかじゃなく、とりあえずの証拠から有罪か無罪かを決める場所にすぎない」と。しかし、同時にこうも強く思うのだった。「それでもボクはやってない」と。最後、徹平の控訴を告げる声とともに映画は終了する。

それでもボクはやってないの作品情報

それでもボクはやってないのジャケット写真
レンタル開始日
2007/08/03
監督
周防正行
キャスト
加瀬亮(金子徹平) 役所広司(主任弁護人) 瀬戸朝香(新人弁護士)
上映時間
143分
GEOで購入!
それでもボクはやってないのユーザ評価

評価数:863件
評価 :★★★☆☆(3.7/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • キャストの演技力の高さや脚本・演出家の上手さが伝わってきました。痴漢冤罪という社会的な大きな問題を警察、検察、弁護士、被害者に加害者の観点から幅広く盛り込んであり素晴らしかった!まさに傑作ですね☆彡.難しい言葉もメインである法廷で出てくるもののわかり易く学びもあり、考えさせられたりして関心が凄く湧きましたね。ほぼ法廷のシーンが多い中、これだけの魅力を引き出せるのはまさしく魅せ方の巧みさや人間心理を上手く付いた展開ではないでしょうか??完全とまでこの裁判の決着は付かないのですが、それがまた余韻を残し世の中に対するメッセージな気もして面白かったです。
  • 冤罪をテーマにした作品。以前講義で途中まで観たことがありましたが、最後まで観て考えさせられることがたくさんありました。裁判員裁判など、裁判が身近になるなかで小学生から大人まで是非見るべき作品だと思います。
  •  この種のレクチャー映画の「つくり」としては満点だと思う。観客は完全に主人公の気持ちになり、次々と展開される「めったに体験できないがありえる話」にいつのまにか引き込まれ、半分以上が法廷のワンシーンであるにもかかわらず厭きが来ないのはスゴウデだと思った。  しかし、この映画、レクチャーとしては恐らく全くのデタラメである。実際には、「起訴」どころか、警察が「送致」すらしない、いわゆる不送致釈放事案であることは間違いない。何しろ、物証が全く無く、自白すらなく、被疑者不利益の目撃者どころか証言も無いのであるから、むしろ警察の誤認逮捕といわれても仕方ないからだ。  恐らくこの映画を観た観客の大部分が、警察、検察、裁判が「怖い」と思ったことだろう。そう思わせる監督の腕が、凄い・・・。

参考URL
・youtube.com