ふしぎな岬の物語のジャケット写真

「ふしぎな岬の物語」は小説が元になっている映画で、2012年にはドラマ化もされた人気作です。「岬カフェ」に集まる人たちとの心温まる人間関係を描いた作品で、シニア受けがよさそうなストーリー。日本映画独特の「のほほん」とした空気感がにじみ出ており、アクション映画やサスペンスとは違った映画の醍醐味を味わえ得る作品です。それではお待ちかねのネタバレをどうぞ!

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

岬の小さなカフェ

千葉県のとある岬の田舎町――木の看板に書かれた「おいしいコーヒーあります、岬カフェ」の文字。 山奥から取ってきた水とこだわりの豆を焙煎して作ったコーヒーをふるまう岬カフェの女店主「柏木悦子」の元には、岬に住む個性的な面々が訪れます。ただ単にコーヒーを売るだけでなく、訪れる人全ての心を癒す、そんな悦子の姿にはどことなく影があります。実は悦子は夫を早く亡くすなど、ずっと孤独を抱えて生きてきたのです。毎朝、岬の絵を描く夫の幻影を見る悦子。その姿はまるで夢遊病者のようです。

そして、その悦子を義務感を持って見守るのは甥の「浩司」。浩司は乱暴者でいい加減な人生を過ごしていますが、悦子のためなら体を張ってなんでもします。例えば、知人の結婚式場で悦子にしつこく言い寄る輩に対し、「えっちゃんに何する!」と殴りかかります。後で悦子に叱られますが。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=c0jAbzBc_UI

岬の人々の心温まる交流

悦子の元に訪れる人は、なんらかの心の傷を抱えています。ある日、妻を亡くした男性が娘を伴って岬カフェを訪れます。慰めるために悦子は、その娘を優しくハグして「大丈夫、大丈夫」という呪文を唱えます。すると、今度は娘が父親をハグして同じことをします。また、岬カフェに深夜泥棒が入るのですが、泥棒にすら全く動じた様子もなくコーヒーをふるまい、むしろ泥棒が感動して改心してしまうところなどは、まるで「レ・ミゼラブル」の世界みたいです!

常連客の「徳さん」が入院し、悦子は病院にコーヒーを持って行くのですが、ポットのコーヒーなので味がいまいちです。そこで、そのコーヒーに「おいしくなあれ」といつものように唱えると、「おいしくなったよ」と徳さんは喜んで飲んでくれました。その様子を見て、徳さんの娘、みどりが悦子に弟子入りします。みどりは徳さんと仲違いしていたのですが、罪滅ぼしをするためにおいしいコーヒーを淹れてあげようと、悦子の姿を見て決心したのです。

また、悦子には甥の浩司や不動産屋で常連客の「タニさん」などが想いを寄せます。ある日タニさんは大阪に転勤することになり、思い切って悦子に告白しようとしますが、結局打ち明けられずにそのまま転勤してしまいます。

岬カフェの火事

悦子の最大の理解者であったタニさんの転勤、徳さんの死去など常連客が相次いで離れていき、徐々に孤独感を強めていく悦子。追い打ちとして、以前訪れた母親を亡くした少女に、悦子の亡き夫の遺品である虹の絵を譲ったことで孤独感はピークに達し茫然自失して海を見つめます。

その夜、悦子の不注意で岬カフェから突然の出火。慌てて浩司が入ると、呆然と火を見つめる悦子の姿がありました。悦夫を抱えて助け出しますが、岬カフェは全焼してしまいます。やがて悦子は浩司と二人っきりになり、悦子は石を積み上げながら、自分の心情を吐露し始めます。自分が両親に死に別れ、ずっと孤独が怖かったこと。画家である夫との出会いと、その早すぎる死。孤独になった悦子が、行方不明だった姉の息子だった浩司を引き取ることになったいきさつなどなど。

「一人はこわい、一人はこわい」というセリフは心を打ちます。悦子の話は5分以上続きますが、いつも明るく岬の人々とつきあってきた悦子がこんな寂しさを胸の内に隠しながら生きてきたのかと思うと、切なくなります。そんな悦子を見て、浩司はハグしながら「大丈夫、大丈夫」と繰り返すのでした。

孤独を乗り超えて新しいスタートへ

火事の翌日、悦子の元には次から次へとお見舞いの品を持参する人々の姿が行列を作ります。かつて泥棒に入った男がお金を持ってくるなど、みんなが支援してくれました。孤独だと思っていた悦子の心は、少しずつ満たされていくようでした。火事の中、奇跡的にコーヒーミルが無事だったので、プレハブでカフェが新たに建設され、岬カフェはすぐに再開されます。

浩司とみどりの間に子どもが出来たという報告を喜ぶ悦子。しかし、もうそんなことで孤独を感じることはないでしょう。もしかしたら、このあとタニさんと結ばれるのかもしれません。今後の悦子の人生をいろいろ想像しながら見終わりました。

ふしぎな岬の物語の作品情報

ふしぎな岬の物語のジャケット写真
レンタル開始日
2015/04/08
監督
成島出
キャスト
吉永小百合、阿部寛、竹内結子
上映時間
117分
GEOで購入!
ふしぎな岬の物語のユーザ評価

評価数:1224件 
評価:★★★☆☆(3.3/5)

クチコユーザの声
  • 人の温かさを感じる作品ですね。周りがこういう人ばかりなら自分自身も自然と優しくなれるんでしょうね。改めて身にしみます。
  • 毎日慌ただしく動いている私にはとても気分的にゆったりした時間を過ごせた。作品に出てくるコーヒー飲みたい…あの自然の中で
  • 美味しいコーヒーを求めて集まる人たちがとても自然で不思議です。何回も涙が止まらないシーンがありました。成島監督作品いいですね。吉永小百合さん、永遠の憧れです。

「伊豆の踊子」もチェック!

「ふしぎな岬の物語」は、主演をつとめる吉永小百合さんが企画に初挑戦した作品でもあります。映画人生をすでに55年も続けているまさに大女優の吉永小百合さんの名を一躍有名にしたのが、1963年に公開された「伊豆の踊子」でした。 踊子の薫は、他の踊子と比べてとても初々しくて主人公の水原は惹かれていきます。そんな、大人の雰囲気と子供っぽさが同居した踊子、薫役を見事に演じきった吉永小百合さん。半世紀前から変わらぬ演技力を見比べてみると面白いかもしれません。

オススメ作品情報

伊豆の踊子(1963)のジャケット写真
レンタル開始日
2005/01/21
監督
西河克己
キャスト
吉永小百合、高橋英樹、大坂志郎
上映時間
87分
GEOで購入!
伊豆の踊子のユーザ評価

評価数:30件 
評価:★★★☆☆(3.4/5)

クチコユーザの声
  • 40年前伊豆の一人旅の天城峠で出逢った旅芸人の踊子との淡い恋を思い出す。現在がモノクロで、回想シーンがカラーという逆転の構成が面白いです。
  • 小百合の牧歌的魅力とでもいいましょうか。一世代前のスターとは違って、気がるに声がかけられる程度の素直な、清潔感がいいですね。
  • 吉永小百合も、高橋秀樹も若い!そして初々しい!あの時代の映画は何か清々しさ、慎ましさがある様な気がする。出会いと別れ、時代背景など深い余韻を残す貴重な映画だと思います。

参考URL ・youtube.com