スリー・ビルボードのジャケット写真

第74回ヴェネチア国際映画祭で脚本賞を授賞したサスペンス。7カ月前に何者かに娘を殺されたミルドレッド。一向に捜査が進展しない中、業を煮やした彼女は寂れた道路の3枚の広告看板に警察への批判メッセージを設置するが、事態は予想外の方向に向かっていく。

監督:マーティン・マクドナー、脚本:マーティン・マクドナー、製作:マーティン・マクドナー グラハム・ブロードベント ピート・チャーニン、出演:フランシス・マクドーマンド(Mildred Hayes) ウディ・ハレルソン(Sheriff Bill Willoughby) 

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

街はずれの3つの看板

ミズーリ州の田舎町、エビング。街はずれの道路わきに立つ、3枚の古ぼけた看板。車を止めてそれを眺めていた1人の中年女は、意を決したように看板を所有する広告会社に乗り込んでいく。その女性、ミルドレッドが出してくれといった広告とは、ある殺人事件について警察を誹謗するものだった。

実は彼女の娘アンジェラは、7カ月前あの看板があった場所でレイプされた上、焼き殺されていたのだ。しかし犯人はいまだ捕まらず、ミルドレッドは進まぬ捜査に業を煮やしていた。警察署長を名指しで糾弾するその内容は、街に大きな波紋を広げていく。

ミルドレッドの元へは容赦ない非難が寄せられるが、彼女はびくともしなかった。さながら孤高のガンマンのように、やられたらやり返すの精神で立ち向かっていく。しかし警察としても、決して捜査に手を抜いていたわけではなかった。人格者で信奉者も多いウィロビー署長は、ミルドレッドに困難な捜査状況を説明するが、彼女は納得しない。

さらに人々がウィロビー署長に同情するのには、もう一つ理由があった。彼は末期の膵臓がんを患っていたのだ。しかしミルドレッドは、それを承知で看板を出していた。そんなミルドレッドを苦々しい思いで見つめていたのが、署長を尊敬してやまないディクソン巡査だった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=uKzmKRELmJI

署長の死

ディクソンは粗暴でカッとなりやすく、おまけに差別的という荒くれ警官だった。なんとか看板を下ろさせたいディクソンは、ミルドレッドの同僚で友人のデニスを逮捕する。しかし、それは返ってミルドレッドの闘争心を煽る結果となる。ミルドレッドには、どうしても引き下がれない理由があった。

実は、娘のアンジェラとは事件の直前にケンカ別れしており、勢いで「レイプされちまえ!」とののしっていたのだ。だからどんなに非難されようとも、看板を下ろすわけにはいかなかった。

ところがある日、広告の責任者レッドに呼び出されたミルドレッドは、「今のままでは金が足りない」と言われてしまう。今すぐ料金を支払わないと、看板を外さざるを得ないというその時、救いの神が現れる。匿名の誰かが、彼女の代わりに広告料を支払ってくれたのだ。

とりあえずピンチは脱したミルドレッドだが、さらなる事件が待っていた。署長のウィロビーが、妻と幼い娘2人を残して自殺したのだ。家族につらい看病生活を送らせたくないというのがその理由だったが、人々はミルドレッドに対する憎しみを一層募らせていく。そして、最もショックを受け、怒りを燃やしたのは、あのディクソン巡査だった。

脅迫と報復

ディクソンは単身広告会社に乗り込むと、レッドを叩きのめした上に二階の窓から放り出してしまう。その蛮行によって、ディクソンは新署長からクビを言い渡される。一方、ミルドレッドが職場の雑貨屋で働いていると、1人の男がふらりと店に入って来た。男は死んだウィロビーの話題を出し、ミルドレッドを脅迫してくる。その上冗談だとしつつも、まるで自分がアンジェラを殺したかのような物言いをする。

男の圧力にさしものミルドレッドも押されていると、1人の客が入ってきてその場を救われた。その客とは、ウィロビーの妻アンだった。アンはミルドレッドに、死んだ夫からの一通の手紙を差し出す。手紙の中身は思いがけないものだった。実は匿名で広告料を支払ったのは、ウィロビーだったのだ。

ウィロビーは手紙で、ミルドレッドに「くじけるな」と言い残していた。思わぬ気づかいにうなだれるミルドレッド。しかし、トラブルはまだ終わらない。今度は、あの3枚の看板が燃やされたのだ。犯人は不明だが、おそらくはディクソンの仕業と思われた。

ミルドレッドはその報復として、警察焼き討ちという越えてはならない一線を越えてしまう。ところが、深夜誰もいないことを確認したはずの署内には、あのディクソンの姿があった。

ミルドレッドとディクソン

実はディクソンは、ウィロビーからの彼宛ての手紙を取りに、深夜こっそり署に忍び込んだのだ。手紙にはこう書かれていた。「お前はいい警官だが、カッとなりやすいのが難点だ。一番大切なのは愛を持つこと。でないと、お前の望む刑事にはなれないぞ」と。

敬愛する署長の言葉に打ちひしがれていたその時、ミルドレッドの投げた火炎瓶によって、署内は炎に包まれる。ディクソンは脱出しようとするが、一冊のファイルを手放さなかった。ディクソンが火だるまになりながら守ったもの、それは、アンジェラの事件ファイルだった。

一方、ミルドレッドは誰もいないと思った署内からディクソンが出て来たことに驚き、ショックを受ける。しかもその手には、娘の事件のファイルがあった。通りかかった知人の弁明で、放火の件はことなきを得たが、この時のことがミルドレッドとディクソンの何かを変えた。ある日退院したディクソンがバーで飲んでいると、1人の男が友人にレイプ自慢をしているのを耳にする。その男は、いつかミルドレッドを脅迫した男だった。

ディクソンはわざとケンカを吹っかけると、その男のDNAを採取。ミルドレッドに連絡し、警察に鑑定を依頼するが、結果はシロだった。事件時、男は国外で兵役についていたのだ。だが、この男が過去に悪事を働いたことは間違いない。ディクソンはミルドレッドに電話すると、男の住所を知っていると告げる。

示し合わせた2人は、翌日銃を持って同じ車へ乗り込んだ。しかし、2人の心には別の想いもあった。「本当に殺したい?」というミルドレッドの問いに、どちらも微妙な反応を返す。ミルドレッドは穏やかに、「道々考えればいいわ」とつぶやくのだった。

スリー・ビルボードの作品情報

スリー・ビルボードのジャケット写真
公開日
2018/02/01
監督
マーティン・マクドナー
キャスト
フランシス・マクドーマンド(Mildred Hayes) ウディ・ハレルソン(Sheriff Bill Willoughby) 
上映時間
116分
GEOで購入!
スリー・ビルボードのユーザ評価

評価数:229件
評価 :★★★☆☆(3.8/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • タイトルにもなっている3枚の看板から物語は始まります。次から次へと事件が起こっていきますが、サスペンスというよりは骨太なヒューマンドラマです。オスカー女優のフランシス・マクドーマンドが、怒りや焦燥感といった感情を見事に演じています。特に、鹿が現れるシーンでは、強い信念を持ちながらも、人間としての弱さを上手く表現していて感情移入させられました。スッキリしたラストが好きでので星4つとしていますが、5つに限りなく近い感想です。また、映画が好きになったと思えるいい作品でした。
  • いろいろな評価を見て形上先入観念がありましたがそれなりに〒期待に応える内容でした。いろいろなと展開が変わっていく中で最後はどうなるものかと思いましたが10分きっと面白かったです。
  • 良いだけの人もいなければ悪いだけの人もいない。 でも意外なあの人の中に隠された善性には泣かされてしまう。事件を通じてそれぞれの魂が少しずつ繋がっていくところがとても好き。 ラスト車中のシーン。 どこまでも行けそうな快晴、あの二人が並んでいて、抑えながらもこぼれてしまう笑みがあまりに全部で完璧で、最近観た映画の中でも特別な瞬間でした。

参考URL
・youtube.com