バルトの楽園のジャケット写真

1914年に勃発した第一次世界大戦。日本軍はドイツの極東における拠点地である中国・青島を攻略した。この戦いで敗れたドイツ兵4700人は捕虜として日本国内の12ヶ所の俘虜収容所に送られた。徳島県鳴門市にある板東俘虜収容所では、松江豊寿所長の指導の下に、地元民と捕虜の融和を図ろうとする方針が取られていた。

監督:出目昌伸、脚本:古田求、音楽:池辺晋一郎、出演:松平健 ブルーノ・ガンツ 阿部寛 國村隼

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敗戦とともに日本の収容所へ

時は第一次世界大戦中の1914年。日本軍は、ドイツ軍の守備隊5,000人が護るドイツの極東の拠点、中国・青島要塞へ攻撃に出ます。日本軍は久留米第18師団率いる2万8,000人の部隊で拠点を包囲、自軍にも多大な犠牲を払いながらもおよそ1週間足らずで要塞を攻略します。

この戦いで敗れたドイツ軍は、クルト・ハインリッヒ総督(ブルーノ・ガンツ)以下4,700人の兵士が捕虜となり、日本国内にある12ヶ所の俘虜収容所へと移送されました。戦争が長引いてきたこともあり、ドイツ軍の捕虜はさらに全国6ヶ所の収容所へと集約されます。この際、四国にある徳島鳴門市にも「坂東俘虜収容所」が設けられ、1,000人を超えるドイツ軍捕虜を収容することとなります。

この坂東俘虜収容所は久留米に次ぐ大きな規模の収容所となっていました。坂東俘虜収容所では、所長の松江豊寿中佐(松平健)の指導の下、地元住民と捕虜が打ち解けられるような方針を進めていました。

心優しい所長や地元住民に次第に心を開いていく

およそ90人を超えるドイツ軍兵士は、久留米収容所から坂東俘虜収容所へと移動することになります。その中には、海軍上等水兵のカルル・バウム(オリバー・ブーツ)や一等水兵のヘルマン・ラーケ(コスティア・ウルマン)の姿もありました。坂東俘虜収容所で待っていたのは、厳しい待遇をされていた久留米収容所とはかけ離れた、自由と尊厳にあふれていた処遇でした。捕虜は外出も自由、パン焼きや飲酒、出版も自由に行え、オーケストラの演奏活動も行われています。

ヘルマンは、所内で発行している新聞の記者として働き始め、見聞する内容を逐一母親へ手紙で報告していました。一方、カルルは久留米収容所で脱走を企て厳しい処罰を受けたにも関わらず、坂東収容所でも脱走を試みます。しかし、脱走した先で出会った村人は酷い仕打ちをするどころか、傷付いた身体を癒し、温かく保護してくれました。そんな温かい心の持ち主の坂東の人々と接するうちに、カルルは心を開いていきます。

父親を失った志をとカルルの出会い

最終的に自分の足で収容所へ戻ったカルルを待っていたのは、厳しい刑罰ではなくパン職人として働くことへの斡旋でした。松江所長は、ドイツ人捕虜を心から信頼し、彼らの持つ様々な技術を学ぼうとしていました。また、ドイツ人捕虜たちも次第に松江所長の優しく温かい人柄に惹かれていきます。松江所長はかつての自分の父親が、敗者の会津藩士として受けた苦しみを知っていたため、敗者へのいたわりの感情を持っていました。

しかし、松江所長のやり方に不満を持つ伊藤少尉(阿部寛)が上層部へこのことを密告。捕虜への扱いが甘いと糾弾され、収容所の予算も減らされてしまいます。そんなある日、日本人とドイツ人の混血の少女「志を」が収容所へとやってきます。収容所へは父親を捜しにやってきたと言う志を。志をの父親のドイツ軍兵士は、日本軍と戦うことを頑なに拒否しており、そのことが原因でカルルとも喧嘩をしていました。

調べを進めると、志をの父親は既に戦死しており、検死に立ち会った中尉からは志をに形見のロケットが手渡されました。その後志をは、松江所長の家族の元へと身を寄せることとなります。それと時を同じくして、捕虜が製作した作品や演奏を披露する為に世界にも前例のない「俘虜製作作品博覧会」が開催されます。そこで出会ったカルルと志をはすっかり意気投合。まるで親子であるかのような親しい交流を持つ間柄になりました。

響き渡る第九と壮大な一体感

1918年11月11日、第一次世界大戦はドイツの敗北により終結することとなります。戦勝に湧く徳島でしたが、坂東ではドイツ兵への気遣いによってひっそりとしていました。収容所所内では、青島の戦いを指揮していたハインリッヒが自殺未遂を図ります。松江所長は、間一髪のところで一命を取り留めたハインリッヒに自らの会津人としての誇りを語り聞かせ、生き続けて兵士たちに希望や誇りを与えるべきだと諭します。

戦争が終結したことにより、いよいよドイツ軍兵士達も解放される時がやってきました。ドイツ軍兵士たちは、松江所長や坂東の住人に感謝の意を込めてベートーヴェンの楽曲「交響曲第九番 歓喜の歌」を演奏します。高らかに響き渡る演奏とともに、日本人とドイツ人、敵と味方の垣根を超えた大きな一体感が生まれた瞬間でした。ハインリッヒは感謝の印として松江所長に愛用のステッキを贈り、カルルはケーキ職人として日本に残るとともに、志をを引き取って育てていくことを決意しました。

バルトの楽園の作品情報

バルトの楽園のジャケット写真
レンタル開始日
2006/12/08
監督
出目昌伸
キャスト
松平健 ブルーノ・ガンツ 阿部寛 國村隼
上映時間
134分
GEOで購入!
バルトの楽園のユーザ評価

評価数:127件
評価 :★★★☆☆(3.7/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 松平健さんの演技は本当にいつ見ても上手ですね。と言うか、時代劇ものはやはり彼しかいないでしょう。和服だけでなく、軍服も似合うなんて素敵ですね。第一次世界大戦時、日本国がドイツの捕虜に対して行った事について描かれている物です。どうしても自分達は第二次世界大戦の事を教えてもらう事が多かったが、第一次世界大戦でも日本国は参戦しているのです。その中で、昔の日本の美学、失われてしまった美学、歪曲してしまった武士道について見ていただきたいです。
  • ゆるい作りだなあとおもっていたが、会津の話が出てからは話にぐっと厚みが出てきた。大正期にこのような施設があり、出来事があったことは全く知らなかったので、勉強になった。ほぼ事実通りであって、もちろん多少の脚色はされているが、大筋を踏みはずすものではないようだ。こういう話はもっと語り継ぐべきだろう。 出てくる人間がみんな「いい人」であるのはちと物足りない気もしたが。第九はやっぱりいいねえとしみじみ。会津のパートは出色の出来。明治維新は無血革命どころか、歴史に残る残虐な戦争だったのだ。
  • 奥さん役の高島礼子はこの世界(芸能界)、暴れん坊将軍のクノ一役がスタートだったような。で健さんとは師弟コンビでしょうな。連合国側について勝利した第一次世界大戦当時はこうした美徳のある武将がまだいたんですね。ほぼ事実にもとづくお話としてなるほどなあとみました。日本で初めてベートーベンの第九が演奏され、それが現在に継承されている、そういうことだそうです。音楽もちょっと良い楽しい映画でえす。

参考URL
・youtube.com