マジカル・ガールのジャケット写真

失業中の父親が、病気で余命わずかな娘の望みを叶えてやろうとしたことから、出会うはずのなかった人々が思わぬ運命に巻き込まれてゆく。ブラックユーモアに包まれた独創的なストーリーを、アニメや歌謡曲などの日本テイストが彩る。

監督:カルロス・ベルムト、脚本:カルロス・ベルムト、出演:バルバラ・レニー ホセ・サクリスタン ルイス・ベルメホ ルシア・ポジャン

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アリシアの願い

舞台はスペイン。物語は、過去のある教室から始まる。授業中、教師の前に呼び出されたバルバラという名の少女。彼女は教師をからかう落書きをしていたのだが、その紙を出すよう迫られると、手品で紙を隠してしまう。時代は変わって現代。12歳の少女アリシアは、日本のアニメ「魔法少女ユキコ」の大ファンだった。

しかし彼女は白血病に侵され、余命いくばくもない状態。彼女と二人暮らしの父ルイスは、そんな娘を不憫に思い、願いを叶えてやりたいと考える。アリシアが欲しいものとは、「魔法少女ユキコ」の一点物のドレスだった。しかし、そのドレスはおよそ90万円(7千ユーロ)もする高価なもの。失業中の元文学教師には、とても手が出ない代物だった。

思い悩んだルイスが強盗に手を出そうとしたその時、思わぬ出会いが訪れる。彼が出会ったのは、成長したバルバラだった。バルバラは現在、裕福な医者の妻という立場だったが、彼女自身は心を病んでおり、幸福とは言えなかった。ある日バルバラは多量の睡眠薬に手を出すが、それをベランダから吐いてしまう。ちょうど下を歩いていたのがルイスで、バルバラは汚れた彼を家へ招き入れたのだった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=owmCUm4lNFU

ルイスの脅迫

夫の留守中、ふと心の隙を見せたバルバラは、ルイスに身を任せてしまう――一夜の過ちになるはずだったこの関係が、やがて悲劇を呼ぶことになる。翌日、バルバラが夫と朝食を取っていると、電話が鳴る。それはルイスからで、「昨夜のことをばらされたくなければ、7千ユーロ用意しろ」という脅迫電話だった。でなければ、録音した証拠を夫に聞かせると。夫に捨てられれば、バルバラは生きていけない。

仕方なく、彼女はアダという女性を訪ねた。アダはバルバラの昔の知り合いで、過去に何か因縁があるらしい。バルバラはアダに、金が必要になったことを告げ、仕事を世話してほしいと請う。アダはそうした女性を、ある男に紹介する仕事をしていた。バルバラの条件は、「今週中に金が欲しいこと、挿入は一切しないこと、1日で終わること」の3つだった。

アダはバルバラに、オリベル・ソコという人間を紹介する。後日、バルバラは迎えの車に乗ってソコの屋敷へと向かった。主を待つ間、ある部屋がバルバラの目に止まる。その部屋の上には、トカゲの絵が描かれていた。やがてソコが現れ、彼女に一枚の紙を渡す。その紙には「ブリキ」という言葉が書かれてあった。ソコは「その言葉を言わない限り、事態を止めることはできない。言わずに我慢するほど、金は稼げる」と告げる。具体的に何が行われるのか、映画では一切描かれない。それだけに不気味さが募るが、バルバラは促されるまま、別室に入っていくのだった。

魔法のステッキ

バルバラはルイスの要求通り、金を図書館のある本の中へ隠す。それを受け取ったルイスは、ついにドレスを手に入れ、アリシアにサプライズでプレゼントする。アリシアは一瞬喜んだが、何かが足りないという様子。ルイスが後で調べると、ドレスとは別に魔法のステッキも売られていた。しかし、その値段は2万ユーロ。仕方なく、ルイスは再び脅迫電話をかける。バルバラは拒絶するものの、やはり選択肢はなかった。彼女は再度アダを尋ねるが、バルバラの条件と金額に見合う仕事はないという。

すると、バルバラは一つの提案をする。「あのトカゲの部屋に入りたい」と。しかし、アダは激しく反対する。どうしてもというバルバラの願いも、彼女には通じなかった。仕方なく、バルバラは直接ソコの屋敷へ出向くことにする。すると、今度は誰の出迎えもなく、ただトカゲ部屋の扉に一枚の紙が貼られているだけだった。

だが、その紙は白紙。何の言葉も書かれていない。じわじわ恐怖が募るが、意を決したバルバラはその部屋へ入っていく…。時間が経ち、部屋から出たバルバラは、あるアパートの一室の前に倒れていた。帰宅したその部屋の住人は、バルバラの姿を見て驚く。意識はあるものの、全身傷だらけで半死半生の態だった。救急車を呼んだその初老の男に、バルバラは一冊の本を図書館へ返すよう頼む。その男・ダミアンは、不審に思いながらも彼女に言われた通りにするのだった。

ダミアンとバルバラ

ダミアンは元教師だったが、罪を犯して長年刑務所に入っていた。つい最近出所したのを、教え子だったバルバラは知っていたのだ。しかも、2人の間にはただならぬ因縁があるらしい。ダミアンは彼女に対し、愛と恐怖という錯綜した感情を抱いていた。入院したバルバラはダミアンを、真相を告げたいと言って呼び寄せる。バルバラが語ったのは、「ある男に襲われた」という話だった。

その男は、図書館でよく見かけるという。ダミアンは男の人相を聞き出すと、元受刑者仲間から拳銃を手に入れ、図書館へ出向く。そして図書館から金を持って出て来たルイスを、こっそり尾け始める。一方買い物を済ませて家に帰ったルイスは、一旦近所のバーへと向かった。と、そこへ初老の男が現れ、彼に話しかける。その男はダミアンと名乗り、バルバラのことを話題に持ちだした。しかし、彼女を襲ったという言い分に、ルイスは慌てて反論する。確かに録音をネタに脅迫はしたが、関係を持ったのは彼女が望んだからだ、と。

それを聞いたダミアンは顔色を変え、とっさにルイスやほかの客、バーテンも皆殺しにしてしまう。そして録音を回収しにルイスのアパートに向かうが、そこには「ユキコ」のドレスを着て、ステッキを持ったアリシアが待っていた。そんな彼女に、ダミアンはゆっくり銃を向け、引き金を絞る…。ダミアンはバルバラの病室へ戻ると、全て片付けたと告げる。そして、真相を知ったことも。ダミアンは録音の入ったルイスの携帯を差し出す。バルバラは受け取ろうとするが、ダミアンはそれを手品で隠してしまう。いつか教室で、彼女が自分にしたように。

マジカル・ガールの作品情報

マジカル・ガールのジャケット写真
レンタル開始日
2016/10/05
監督
カルロス・ベルムト
キャスト
バルバラ・レニー ホセ・サクリスタン ルイス・ベルメホ
上映時間
127分
GEOで購入!
マジカル・ガールのユーザ評価

評価数:403件
評価 :★★★☆☆(3.4/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 失業した元文学の教師が余命わずかな娘のために日本のアニメのコスプレ衣装を手に入れるため奔走するお話です。冒頭から数学教師と生意気な女生徒、精神科医と精神を病んだ妻、白血病を患った少女と父親の関係性が印象的です。
  • 個人的に今年最高の映画。 内容としては絶対万人受けしません。 心温まる感動のファミリードラマをご希望の方は他へどうぞ。 この映画のスゴい所は、登場人物が誰一人笑わない所。男も、女も、子供も、誰も笑わない。 全編通して暗く重い雰囲気。登場人物全員がソフトクズ。救われないラスト。美しいヒロイン(?) 全てが自分好み。
  • せっかくリアリティのある人間描写で積み上げて来た物語も、犯人の正体とその周囲の関係性、物語の飛躍のさせ方が余りにも”出来すぎ感”があって、なんじゃそりゃ!?という感じ。作品によってはこういった人物の交錯の仕方もとても楽しめるものなのだが、本作では作為性ばかりが際立ち過ぎて後半からどうでも良くなってしまったなぁ。そもそもこういう観客に指をさす系の映画でここまでリアリティを逸した展開にするのはどうなんだろう。 監督は本作が長編初監督作らしいですが、確かな場面作りの手腕を感じます。たびたび挿入されるホラー演出も物語の不穏さを醸し出していて良かったです。

参考URL
・youtube.com