奇跡(2011)のジャケット写真

奇跡を信じた子供たちと、彼らを見守り、翻弄され、癒されていく大人たちを描く「空気人形」の是枝裕和監督作。奇跡を信じる子どもとその家族の関係をドキュメンタリータッチで描いた作品です。

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

両親の離婚により、鹿児島と福岡にそれぞれ離れて住む兄弟

2011年公開。監督は是枝裕和。2011年3月に全線開通した九州新幹線をモチーフとし、JRの企画により製作された。とはいえ、JRからの制約はなかったと監督は語っており、実際に九州新幹線は最後の方でわずかに現れるだけである。2004年公開の「誰も知らない」から7年ぶりの子役主演の作品で、撮影方法は同じように子役に事前に台本を渡さない手法で進められた。

両親の離婚により福岡と鹿児島で別れて暮らす兄弟が、九州新幹線がすれ違う時に奇跡が起こるという話を信じ、願いを叶えるために旅をするというストーリーとなっている。

小学6年生の「大迫航一」は、両親の離婚で住んでいた大阪を離れ、鹿児島にある母「のぞみ」の実家にいた。かつて和菓子屋だったが今は駐車場の監視員として働く祖父「周吉」・フラダンスに熱中する祖母「秀子」とも共に暮らしている。一方、小学4年生の弟「木南龍之介」は、ミュージシャンとして名を挙げることを目指しバンド活動する父「木南健次」とともに福岡で暮らしていた。

航一は鹿児島に来て半年になるが、いまだ生活になじむことができない。いつも煙と灰を散らす桜島や、灰が降る場所に暮らすことにも「意味わからん」と言い、友人の「福本佑」「太田真」からあきれられることもあった。

一方、福岡にいる龍之介は、スイミングスクールの帰りにたこやきを購入して一人で夕食として食べ、朝には庭に植えたトマトをもいで食べ、まだ寝ている父に声をかけるだけで学校へ行く。学校では、朝から今日の給食の話をする「磯邊蓮登」だけでなく、女優志望の「有吉恵美」、絵を描くことが好きな「早見かんな」といった女子とも親しく遊んでいた。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=OMGI3UxCFS8

九州新幹線が初めてすれ違う時に奇跡が起きると聞いた航一は、元の暮らしを願おうとする

ある日、航一は、鹿児島から北上する「さくら」と博多から南下する「つばめ」が初めてすれ違う時に、願いがかなうという話を聞く。図書室で調べ、その場所が熊本県だとわかった。

その頃、周吉が仲間から郷土菓子「かるかん」を再び作ることを提案された。周吉は航一を連れて出て、かるかんを購入し、観覧車の中で食べる。なぜ灰が降る土地に住むのか航一が問うと、周吉は、ここで生まれ育った故に他の土地での人生は想像できなくなったと答える。しかし大噴火が起こればこの辺り全部引っ越しだ、とも言った。その後、周吉は自宅でかるかんを作り航一も手伝う。完成を待つ間に外で休憩する周吉は、舐めた指を一本たてて風を確かめ「今日も(灰は)積もらんな」と呟いた。

航一は起こしたい奇跡について友達に話をする。桜島が大噴火すればここに住めなくなり、引っ越して以前のように家族で暮らせると語った。一方、龍之介も航一から奇跡の話を聞き、友達と話す。龍之介は兄の願いを知っているが、母と父が喧嘩していた以前の暮らしに戻りたくないと語った。

だがそのうちに、航一の友人達が旅を渋りだし、航一は龍之介に奇跡の話が中止になりそうだと伝える。

子どもたちの策と見守る大人 奇跡を起こす旅行計画が始動する

のぞみが同窓会に出席した夜に酔って帰宅し、福岡の龍之介に電話をかける。泣きながら龍之介と話すのぞみや秀子が話すのを、航一は部屋の外に隠れて聞いていた。

翌日、航一は、佑と真にやっぱり熊本へ行こうと話し、旅の計画が復活。そして龍之介も航一に電話し、自分も参加させてと頼んだ。様々な方法で資金は何とか得たが、決行日が短縮授業の龍之介達と違い、航一は2時間目の授業中に早退する必要があった。航一は、周吉に頼み事があると声をかける。

翌日、航一は国語の授業で教科書を読んでいる途中に座り込み、担任に促されて保健室へ行く。続いて、佑と真も体調が悪そうに机に伏せ、保健室には3人集まってしまった。当然バレそうになるが、保健室の先生と迎えに来た周吉のおかげで、3人は学校を早退することができる。

航一は自分で描いた桜島の絵と、周吉が作ったかるかんを持っていく。合流に遅れてきた真は、死んだ飼い犬を入れたリュックを抱えて現れ、野球選手になるのは諦めて犬を生き返らせたいと言う。航一と佑は、複雑な表情で承知し、電車に乗り込んだ。福岡でも龍之介と友人達が電車に乗った。

「家族より世界」噴火を願わなかった航一

目的地の熊本・川尻駅に着いた航一は、新幹線の線路が高架のために新幹線が見えないと気がつき、線路を見つめる。すると駅員が同じ方向に見える雲仙普賢岳を見ていると勘違いし、その山の噴火で大勢が亡くなったことを語った。

航一達は龍之介達と合流し、新幹線が見える場所を探すが、蓮登が遅れて警官に付き添われてしまう。警官をごまかすために恵美が近くの家の知り合いであるようにふるまうと、庭に住人の女性がいた。そこは娘が出て行ったきり夫婦で過ごしていた家で、昔に戻ったようだと懐かしむ夫婦の好意で子ども達は宿泊させてもらう。

翌朝、航一達は夫婦に送ってもらい、線路が見える場所で新幹線を待つ。やがて新幹線がすれ違うと、子ども達は口々に願いを叫び始めた。だが航一は、今までの様々な光景が思い浮かび、黙ったまま新幹線が去っていく。

別れ際、航一は龍之介に、願いを言わなかったと告白。「家族より世界選んでしもうたんや」という航一に、龍之介も違う願いを言ってしまったと告げた。

帰宅した航一は、いつも通りに迎えられて家に入る。そして、周吉が以前やっていたように、なめた指をたてて風を確かめ「今日は積もらんな」と呟いた。

奇跡(2011)の作品情報

奇跡 (2011)のジャケット写真
レンタル開始日
2011/11/09
監督
是枝裕和
キャスト
前田航基 前田旺志郎 大塚寧々
上映時間
128分
GEOで購入!
奇跡(2011)のユーザ評価

評価数:566件
評価 :★★★☆☆(3.4/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • とにかく子供達の演技が自然で面白い。さすが是枝監督。この作品に出演している子供の1人が今、ネットで話題の美少女アイドルだとか。
  • 映画は、軽いジュブナイル風の冒険劇といったところでしたが、弟と暮らすミュージシャンである父(オダギリジョー)、鹿児島名産かるかんを町おこしに使いたいと思っているおじいちゃん(橋爪功)、女優を目指すクラスメイトなど、変化があって楽しめるものになっていました。
  • 狭い世界の中で生きていた子供の頃にそれなりに抱えていた悩みだとか、それを見守る大人達だとか、見終わった後からじわじわ来るこういう映画が好きです。役とも現実ともとれるインタビューの感じが好きで、全体的にお芝居っぽくなくて、是枝監督らしい作品でした。

参考URL
・youtube.com