悪人のジャケット写真

<簡単な解説>
吉田修一の同名小説を「フラガール」の李相日監督が映画化。ある殺人事件の犯人と彼を愛する女の逃避行、引き裂かれていく家族の姿を描く。音楽を「おくりびと」の久石譲が担当。出演は「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」の妻夫木聡、「女の子ものがたり」の深津絵里、「瞬 またたき」の岡田将生、「川の底からこんにちは」の満島ひかり、「歩いても 歩いても」の樹木希林など。

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

悪人のネタバレあらすじ-1:女性保険外交員・佳乃

金髪の無口な青年・清水祐一(妻夫木聡)が、夜道を車で飛ばしています。向かう先は福岡の博多、出会い系サイトで知り合った保険外交員・石橋佳乃(満島ひかり)に会うためです。

その頃、父親の知り合いと契約をまとめた佳乃は、会社の同僚と鉄鍋餃子の食事を楽しんでいました。佳乃は同僚たちに、先日ダーツバーでナンパされた増尾圭吾(岡田将生)とこれからデートだと言って羨ましがらせます。

増尾は湯布院の老舗旅館の御曹司。佳乃はお金持ちの増尾と付き合っているフリをしていますが、佳乃の本当のデートの相手は、長崎の解体工・祐一です。祐一をただのセックス相手と見下している佳乃は、食事後、同僚と別れて待ち合わせ場所に向かいます。

車で待っていた祐一は佳乃を見つけ、クラクションで合図をしました。そこに偶然、佳乃の憧れの増尾が車で通りかかります。増尾を見つけた佳乃は舞い上がり大ハシャギです。そして祐一に「今日はムリ、お金は口座に振り込んどいて」と言い捨て、半ば強引に増尾の車に乗り込みました。そして呆然とする祐一を残し、ふたりは車で走り去っていきました。

※それまでの好青年の役どころから一変して悪役に初挑戦の妻夫木聡。暗く得体の知れない役ながら、どこか母性本能をくすぐります。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=lw-o2Pcivpk

悪人のネタバレあらすじ-2:被疑者・圭吾

翌朝、佳乃の遺体が福岡と佐賀の県境の道路崖下で発見されました。佳乃の父親・石橋佳男(柄本明)は警察からの連絡で、身元確認に警察を訪れます。無言のまま遺体を確認した佳男、ショックを受けた妻・里子はその場で泣き崩れます。佳乃殺害に関する様々な報道がなされる中、佳乃が出会い系サイトで他の男とも会っていたことが伝えられます。佳乃を売春婦呼ばわりする報道は、娘を失った悲しみに暮れる佳男と里子夫婦を更に傷つけました。

その頃警察は、佳乃を殺害した被疑者として、最後に会った増尾を追っていました。そして名古屋のカプセルホテルに潜んでいた増尾を発見、みっともないほど大暴れして逃げようとした増尾を、任意同行で取り調べます。

そして増尾の話から、ハシャギまくる佳乃に苛立ち鬱陶しくなった増尾が、殺害現場付近で車から蹴り落し、そのまま車で走り去ったことが判明しました。増尾の容疑は晴れ、次に警察が犯人と考えたのは、出会い系サイトで知り合った祐一でした。

※傲慢で情けない男・増尾を岡田さんが実にうまく演じています。また父親役の柄本さんが無言で遺体と対面するシーンは、切ないほどの父親の悲しみが伝わってきますね。

悪人のネタバレあらすじ-3:光代との出会い

祐一は長崎で、祖父母に育てれらました。毎日、朝早くから解体工として働きながら、病気がちの祖父の通院や近所の年寄りも手助けする祐一。祐一が働く矢島解体建設の社長・矢島憲夫(光石研)は、祐一を不憫に思います。

そんな祐一に、2か月前に出会い系サイトで知り合った女性からメールが入りました。メールの送り主・馬込光代(深津絵里)は佐賀県の紳士服店で販売スタッフとして働いています。同居している妹の珠代は、恋人と楽しく過ごしていますが、地味な光代は恋人もなく職場とアパートを往復するだけの毎日。そんな寂しさから光代は、祐一にメールを送ったのでした。そして祐一と光代は合う約束をします。

当日、白いGTRに乗った金髪で若い祐一を見て、光代は少し戸惑います。ドライブを楽しむだけと気持ちを引き立たせ、明るく振舞う光代を祐一はホテルに誘います。戸惑いながらも祐一を受け入れる光代。愛し合った後、祐一は光代にお金を渡しました。祐一は佳乃とホテルで会う度にお金を要求されていたため、出会い系でサイトで知り合った女性と会ったらお金を払うものだと思っていたのでした。

ショックを受ける光代、自宅アパートまで送ってくれた祐一に、光代はお金を返しながら寂しそうに言いました。「私は本気やったと、ダサかやろ」

※無口で不器用な祐一の禁欲的な生活、何もかも諦めきったような寂しい表情に切なくなります。

悪人の最後:もっと早く出会いたかった

翌日、祐一は光代の勤めている紳士服店を訪れ、謝罪します。「俺も本気で誰かと出会いたかったと」。そして光代をアパートまで送り届けて長崎に帰る途中、祐一に祖母から警察が来ていると電話が入りました。祐一はUターンし、光代のアパートに戻ります。心配して出てきた光代を抱きしめ「俺、もっと早く光代に出会いたかった」と言います。そして強引に光代を車に乗せて、走り去りったのでした。

翌日、海の見えるレストランで食事をする祐一と光代、そこで祐一は苦しそうに告白します。

「俺、人殺した」

あの日、祐一は自分を無視して走り去った佳乃に腹を立て、佳乃と増尾の車を追いました。そこで見たのは、佳乃が増尾の車から蹴り落され、ガードレールに打ち付けられたところでした。心配した祐一は駆け寄り、大丈夫かと尋ねましたが、佳乃は逆切れして「うちを追いかけるなんて信じられん!こんな目にあったんも、あんたのせいや」と叫びます。そして拉致されレイプされたと警察に通報すると言い出しました。驚いた祐一は、「嘘つくな」と言いますが佳乃は「人殺し!人殺し!」と叫び続けます。焦った祐一は、佳乃を黙らせるため、思わず首を絞めてしまったのでした。そして気が付いたら佳乃は死んでいたのです。

「俺のいうことなんて、誰も信じらんかった」幼い頃、母に灯台に置き去りにされ、それを保護された時に言っても、誰にも信じてもらえなかった祐一。祐一にはそれがトラウマになっていたのでした。

※祐一、光代それぞれの寂しさが切なく伝わってきます。そしてやっと巡り合えた真実の出会い、出来たらこのまま逃亡させてあげたいと思ってしまいますね。

灯台の逃亡生活、そして終焉

自首するという祐一に光代は言います。「私待つけん何年でも、よかよね」そしてふたりで警察の前まで来ますが、祐一と離れたくない光代はふたりで逃げようと言いました。

途中で車を乗り捨て、バスを乗り継いてやってきた先は、ふたりが出会うキッカケとなった灯台です。そこで労わり合いながら過ごすふたり。寒さに震えてひとつの毛布にくるまりながら、ふたりは愛を確かめ合いました。食事の買い出しついでに、心配しているであろう妹・珠代に電話した光代は、自分が「殺人犯に拉致された被害者」と報道されていることを知ります。「違う」と否定する光代でしたが、電話を切った直後、警察官に声をかけられ保護されてしまいます。

それでも祐一を助けたい光代は、警察の手を振り切り灯台に走って戻りました。警察に追われ必死で走ってくる光代の姿を見た祐一は、愛する光代を共犯にしないために、わざと光代の首を絞めます。「俺は、あんたが思うとるような男じゃなか」そして一斉に駆け付けた警察によって祐一は逮捕されました。

ある日、光代は殺害現場に花を手向けに行きました。そこで佳乃の父・佳男の姿を見かけた光代は、そのままタクシーに戻ります。そして呟きます。「あの人は悪人ですよね。人を殺したとですもんね」

※この映画を見て感じたのは、誰が悪人なのかということです。人を殺害した祐一は悪人なのでしょうが、祐一を馬鹿にし冤罪を着せようとした佳乃、佳乃を馬鹿にし車から蹴落としながらも平然としている非道な増尾、祖母を騙す悪徳詐欺師、そして報道という名のもとに祖母を追い回すマスコミ。人の心をズタズタに切り刻んでいく、自己の欲望のための悪について考えさせられてしまう映画です。

悪人の作品情報

悪人のジャケット写真
レンタル開始日
2011/03/04
監督
リ・サンイル[李相日]
キャスト
妻夫木聡 深津絵里 岡田将生
上映時間
139分
GEOで購入!
悪人のユーザ評価

評価数:1604件
評価 :★★★☆☆(3.6/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 話が分かりやすく、最後まで楽しく鑑賞する事が出来た。起承転結もしっかりしていて、話も良くまとまっていた。機会があればまた見たいと思った。
  • レンタルで初めて見ました。話の内容はもちろんですが、いろいろな面で工夫されていて、とても面白かったです。最初の方はなかなか話が理解できませんでしたが、ストーリーが進むにつれて、少しずつ理解が進み、わかってくると面白くなっていきました。是非一度見てみてください。
  • 誰が本当の悪人か?の答えがわからない。殺人は悪いことだと思うが、妻夫木より岡田の方が人間のクズだと思う。また、殺された女性もいい人間ではなかった。深津絵里の演技が絶賛されているが、妻夫木の演技の方が素晴らしかった。

吉田修一の「怒り」もオススメ!

吉田修一原作の映画「悪人」は、モントリオール映画祭や日本アカデミー賞など多くの賞を受賞し、高い評価を得た作品です。同じ吉田修一原作の映画「怒り」もまた、これ以上に素晴らしい作品になっています。この映画のキャストには渡辺謙、宮崎あおい、森山未來、妻夫木聡、綾野剛、松山ケンイチ、広瀬すずと実に豪華な布陣となっています。特に広瀬すずさんは自らオーディションを受けてまで出演したかったというほどの惚れ込みようです。物語はある凄惨な殺人事件の犯人を追って、千葉・東京・沖縄の三つのストーリーが交錯します。誰が犯人なのか、最後まで手に汗を握りながら気が抜けない展開となっています。社会的な問題も多く提起し、考えさせられてしまう映画です。第40回日本アカデミー賞も総なめした映画「怒り」、是非見てください。

怒りの作品情報

怒りのジャケット写真
レンタル開始日
2017/04/05
監督
リ・サンイル[李相日]
キャスト
渡辺謙 森山未來 松山ケンイチ
上映時間
142分
GEOで購入!
怒りのユーザ評価

評価数:4356件
評価 :★★★☆☆(3.9/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 森山未來やべーな。すげー役者だ。 この人と山田孝之はハリウッドに行ってほしい!でも、役がねーよな。個性が強すぎて。
  • ある殺人事件の指名手配犯と思われる男が日本各地に3人いて、疑惑の男たちとかかわる人々とのドラマ。人を信じることの難しさ、人の心の脆さが描かれていて。純粋な心を汚された怒り、自分自身に対する怒り、人を憎む怒り、色々な怒りが表現されている。演技力ある役者ばかりで、引き込まれました。
  • 俳優さん達の演技が素晴らしい。中でも綾野剛さんと妻夫木聡さんのからみがすごかったです。ストーリーは、事件から始まるのでいったい犯人は誰なのか。とハラハラさせられます。

参考URL
・youtube.com