愛の流刑地のジャケット写真

ある夏の日、作家・村尾菊治(豊川悦司)の仕事部屋。不倫関係にある村尾と人妻・入江冬香(寺島しのぶ)が愛し合っている。高まりの中で冬香は「本当に愛してるなら、私を殺して」と村尾に懇願した。その言葉に誘われるように冬香の首を絞めて殺してしまう村尾。自ら警察に連絡して逮捕されたが・・・

監督:鶴橋康夫、原作:渡辺淳一、脚本:鶴橋康夫、音楽:仲西匡 長谷部徹 福島祐子、出演:豊川悦司 寺島しのぶ 長谷川京子 仲村トオル

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

村尾と冬香

8月の東京。とあるマンションの一室で、明け方男女が愛し合っていた。上になった女は狂ったように「殺して」と繰り返し、男はそれに応じるように女の首に両手を添える。気が付くと、女は動かなくなっていた。男は、しばらく女のそばに寄り添ってから警察に電話を入れる。「人を殺しました」と。その男、村尾菊治は小説家だった。処女作はヒットしたがそれ以降は下り坂となり、今は世間から忘れられた存在となっていた。

殺された女は入江冬香という名の主婦で、3人の子持ち――2人が出会ったのは1年前、村尾が取材で訪れた京都でだった。知り合いの女性誌記者・魚住に紹介されたのだ。冬香は村尾のデビュー作「恋の墓標」の大ファンだという。村尾は控え目ながら凛とした冬香に惹かれ、東京へ戻ってから「会いたい」というメールを送る。彼女はためらったが、それでも村尾は京都へ向かう。

すると、待ち合わせ場所に彼女の姿が。村尾は思わず彼女を抱きしめ、キスを交わす。それから2人のただならぬ関係が始まった。村尾は新作に取り組んでいたが、テーマはあるのにどうしても書けない。しかし、冬香に出会ったことがきっかけとなり、再び作品へ向かう意欲が生まれたのだった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=9_X_bc50R9Y

密会と情事

村尾は生活をしのぐために大学講師などの仕事をしていたが、その合間を縫って足しげく京都へ出向き、冬香と会っていた。2時間ほどの逢瀬だったが、2人には至上の時だった。最初は身を硬くしていた冬香も、会うたびに情熱的になっていく。

しかし、情事にのめりこむほど会えない時間がつらくなり、そして罪悪感も募っていく。冬香の夫は製薬会社の営業として忙しく、夫婦生活は味気ないものだった。ただ、夫婦生活は味気なくとも3人の子供はいずれもかわいく、家庭に背く行為は彼女を次第に追い詰めていった。それでも2人は、会わずにいられない。

そして、冬香の夫の東京転勤を機に、2人はさらに頻繁に逢瀬を重ねるようになっていく。どちらももはや、戻れないところまで来ていた。一方、逮捕後の村尾は、拘留され取り調べを受けていた。担当検事は、織部という気鋭の女性検事。織部は村尾をするどく尋問し、事件を追っていく。

そんなある日、拘置所に村尾の娘・高子が訪ねてくる。高子は村尾に、「お父さんは利用されただけ。あの人は殺してくれる人が必要だったのよ」と涙で訴える。村尾の弁護を担当するのは、北岡という男だった。北岡は弁護方針として、冬香が自身に対する殺しを依頼した「嘱託殺人」の線で行くことを決める。

裁判

弁護側の強力な証拠となるのが、2人の情事を録音していたテープだった。そこには冬香の「殺して」という懇願の声も録音されているはずだった。その声が鮮明ならば、嘱託殺人が成り立つかもしれない。殺人には違いないが、量刑にはかなりの差があった。冬香が情事の際に「殺して」と口走るようになったのは、初めて2人で旅行した時だった。

その夜、抱き合っていた最中、突然冬香は「このまま殺して…」と村尾の手を自らの首に回したのだった。その時もテープが回っていたが、それらは全て、検察側が証拠として握っている。そしていよいよ、裁判が始まった。魚住や冬香の夫・徹、そして高子らが傍聴席で見守る中、裁判長に促されて証言台に立った村尾は、「彼女はしっかりした意思を持ち、自ら選択してこの世を去りました」と陳述する。

そして、あの日の詳しい状況が明かされ始める――8月1日、冬香は村尾の部屋で花火大会を見るために自宅からやってきた。浴衣に着替え、花火を見た後、11時ごろから情事を始める。そして、明け方4時ごろにも再び情事を行い、村尾は冬香に求められるまま首を絞めた。その絞め方は激しく、めったに見られないものだという。これらを持って検察は、村尾には強い殺意があったとし、殺人罪を主張する。それを聞いた高子は、思わず法廷を飛び出してしまうのだった。

判決

公判は進み、冬香の夫・徹も証言台に立つ。徹は、妻は村尾にたぶらかされたのだと怒りを表すが、その姿はどこか自己弁護めいていた。事実、冬香と徹の関係は冷え切っていたのだった。村尾は徹を見ながら、冬香が夫から離婚されそうになっていると告白したことを思い出していた。しかし、冬香にはもう心残りはなかった。彼女に捧げられた村尾の新作「虚無と情熱」が完成したからだ。

冬香はそれを「2人の子供」と呼んでいた。皮肉なことに、以前はどの出版社にも断られていたその作品は、村尾の逮捕後に出版されベストセラーとなっていた。弁護士の北岡は、満を持して、事件の夜の録音テープを証拠として開示するよう求める。法廷で流れるそのテープを聞きながら、村尾はいたたまれなさを感じていた。検察の追求に対し、ついに村尾は「愛は法廷では裁けない。この裁判は何もかも違う!」と激昂する。

そして最後の証人として、冬香の母・文江が証言台に立つ――文江は当日娘に呼ばれ、子供たちの世話をしてくれるよう頼まれていた。出かける前の娘の様子は、何かを覚悟しているようだったという。証言を終えて去ろうとする文江に、村尾は思わず土下座をしていた。

村尾は最後の陳述として、「冬香は私を誰にも渡したくないと思い、自分を殺させた。私は選ばれた殺人者なのです」と語る。言い渡された刑は、懲役8年だった。拘置所に戻った村尾に、文江から一冊の本が届く。それはあの日出かける前、冬香が母のバッグに忍ばせた「恋の墓標」だった。本を開くと、中から手紙が出てくる。そこには彼への思いと、死を覚悟した冬香の心情がつづってあった。村尾は改めて冬香を思い、与えられた刑を受け入れようと決心するのだった。

愛の流刑地の作品情報

愛の流刑地のジャケット写真
レンタル開始日
2007/07/13
監督
鶴橋康夫
キャスト
豊川悦司 寺島しのぶ 長谷川京子 仲村トオル
上映時間
125分
GEOで購入!
愛の流刑地のユーザ評価

評価数:379件
評価 :★★★☆☆(3.3/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 純粋な恋愛と命の熱情をダイナミックに描いた作品。  強烈な性描写や大胆なテーマが社会的な話題を呼んだ作品であるが、はっきり言ってそれほど強烈でもないし、逆に品がある描き方に徹している。  愛と死。「この人を誰にも渡したくない」という普遍的な愛の極地を、豊川悦司と寺島しのぶが激しく美しく燃え上がらせる。シンプルだけども難しいテーマに、二人は見事肉薄し、見るものを圧倒する。素晴らしい。
  • 紅葉が美しい京都で二人が初めて出会うシーンは情景もとてもきれいで すが、豊川悦司がカメラを構えた立ち姿と寺島しのぶの手のしぐさが とてもきれいです。 長身で手足の長い豊川悦司は白いシャツにパンツだけでもとても様に なっていて、すらっとした長い指でいとおしく彼女に触れるしぐさが とても美しいです。 寺島しのぶはとても品があって、こんなにきれいな人だったんだと思わ されました。劇中でどんどんきれいになっていきます。
  • ドラマより、数段素晴らしい作品に仕上がってました。 女性の妖艶さや、色っぽさを追求したアングルも良かったし。豊川と、寺島が美しく、演技も本当に素晴らしかった。燃え上がり、どうにも止められない想い。女性なら誰でも一度は経験したい・・・もしくは、経験しそれぞれの人生を選択していると思う。 同じ女性として、心から共感した。 仲村トオルが、海猫では逆に人妻を寝取る演技をしているのに、この映画では、寝取られる役で、その役作りの違いも非常にうまく楽しめた。

参考URL
・youtube.com