月に囚われた男のジャケット写真

デヴィッド・ボウイの息子、ダンカン・ジョーンズの監督デビュー作となるSFドラマ。近未来を舞台に、たった一人で月に赴任中の男が遭遇する奇妙な出来事を描く。主演は「フロスト×ニクソン」のサム・ロックウェル。ロボットの声で「ラスベガスをぶっつぶせ」のケヴィン・スペイシーが参加している。

監督:ダンカン・ジョーンズ、脚本:ダンカン・ジョーンズ ネイサン・パーカー、音楽:クリント・マンセル、出演:サム・ロックウェル(サム・ベル) ドミニク・マケリゴット(テス・ベル)

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月の裏側にただ一人

近未来。化石燃料に変わる新エネルギー「ヘリウム3」の登場によって、地球は劇的な変化を遂げていました。そのヘリウム3の採掘が行われるのは、月の裏側。ルナ産業の従業員サム・ベルは、地球から38万Km以上離れた「サラン採掘基地」で、たった一人採掘作業に当たっていました。彼に与えられた任期は3年で、残すところはあと2週間。妻と幼い娘の待つ地球への帰還が待ちきれないサムでしたが、ここ最近体調の変化や、幻覚を見るなどの異変を感じ始めてもいました。

そんな時、採掘機にヘリウム3の回収に向かったサムは、幻覚に気を取られて事故を起こしてしまいます。意識を失った彼が次に目覚めたのは、基地の治療室でした。サポート役のAI「ガーティ」は、彼が事故を起こしたことを告げますが、サムは何も覚えていません。体は回復したサムですが、本社の命令で本格的な作業は禁止。基地の外へ出ることも禁じられてしまいます。

しかし本社やガーティの態度に不審を感じた彼は、策を講じて外出に成功。トラブルがあったらしい現場へ向かいます。しかし彼がそこで目にしたのは、回収車の中で瀕死のまま横たわる、自分自身の姿でした。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=pU1tTBKpkIE

もう一人の自分

混乱するサムですが、半死半生の自分を基地内へ運び込みます。一方手当によって意識を回復したもう一人のサムも、自分そっくりの男がいるのを見て動揺。ガーティに説明を求めるものの、要領を得ない答えしか返ってきません。

こうして基地内に二人のサム・ベルが存在するという、世にも奇妙な状況が発生してしまいます。お互い相手の存在が認められず、ぎくしゃくしたやり取りを交わすサムたち。しかし、なんとなく答えは見えていました。問題は、そう簡単に真実を受け入れられないということです。

特に「事故を起こしたサム」は、自分こそ本物のサム・ベルだと主張して譲りません。一方「事故後のサム」は、自分たちの正体の証拠を探ろうとやっきになっていました。ついに激しくぶつかり合う2人。ところが前者のサムは、ケガに触れられただけで大量に出血してしまいます。

ついにガーティに対し、「俺はクローンなのか?」と尋ねる1人目のサム。するとガーティはこう答えます。「新しいクローンは目覚めると、事故に遭ったとして検査を受ける。君も最初そうだったろ?君の家族の記憶は、オリジナルのサム・ベルから移植されたものなんだよ」と。決定的な宣告に対して、何かを悟ったようにただ静かにうなずくサム。ゆっくりと無言で去っていく彼を、ガーティも黙って見送るしかありませんでした。

残酷な真実

実はルナ産業は、採掘のコストを抑えるため、クローン人間を作業員として使っていたのです。クローンは3年ごとに入れ替えられ、もちろん任期を終えた者が地球に戻ることはありません。故障で不能と言われていた地球への通信も、実は電波妨害によるものでした。月のサムに与えられた記憶も情報も、全てが嘘だったのです。

二人のクローンが出会ったのは、本来ならありえない出来事なのでした。ガーティの助けによってクローンの情報を得た先代のサムは、帰還用睡眠ポッドの下である物を発見します。それは、膨大な数のクローンの保管室でした。この先目覚めるはずの自分たちを、複雑な思いで眺める二人のサム。やがて何かを思い立った先代のサムは、妨害施設の外まで来ると、地球の家族へ向けて通信を行います。

しかし妻はすでに死亡し、幼いはずの娘は15歳に成長していました。娘が謎の通信を不審に思い、父親を呼ぶのを見て慌てて通信を切るサム。もがき苦しむ彼の願いはただ一つ「故郷へ帰りたい」ということだけでした。

サムの帰還

2人にはさらなる問題が迫っていました――すでに月へ向けて事故処理班が送られており、船が着くのはもう間近だったのです。彼らがサム達の姿を見れば、2人とも生かしてはおかないでしょう。そこで2人目のサムは一計を案じ、ガーティに命じてクローンを1人新たに目覚めさせます。彼を事故車に置き去りにする代わり、先代のサムをヘリウム3の輸送ポッドに乗せて、処理班が着く前に地球へ送り出そうというのです。

しかし、先代のサムは自分の死期が近いことを悟っていました。体はボロボロで、もはや足も言うことを聞きません。それに、彼らに新しいクローンを殺せないこともわかっていました。先代のサムは、地球への帰還を2人目のサムに譲ると、自分が事故車に戻ることにします。

すでに虫の息の自分を抱え、事故車に運ぶ2人目のサム。一方タイムリミットは刻一刻と迫っていました。これまでのログを消すため、ガーティの再起動をプログラムした後、輸送ポッドに乗り込むサム。

しかしその前に、ふと思い立った彼は採掘機の進路を変えます。その先には、妨害電波を発するあの施設が。その時船が到着し、ギリギリでポッドに乗り込んだサムは地球へと旅立ちます。そしてその光景は、最後の時を迎えるサムの目にも映っていました。物語は、帰還したサムの告発による騒動を伝えるニュースで幕を閉じます。

月に囚われた男の作品情報

月に囚われた男のジャケット写真
レンタル開始日
2010/08/11
監督
ダンカン・ジョーンズ
キャスト
サム・ロックウェル(サム・ベル) ドミニク・マケリゴット(テス・ベル)
上映時間
97分
GEOで購入!
月に囚われた男のユーザ評価

評価数:921件
評価 :★★★☆☆(3.5/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • SFを見たくなったので、今回はこの1本をチョイスしましたが、なかなかみごたえがありました。始まりから簡単にストーリーに入り込め、アクビも出ず最後まで楽しめました。 曖昧さはなく、ハッキリとした起承転結でわかりやすく観やすかったです。
  • 展開予想はある程度つくものの、楽しめました。 月の資源開発作業所で働く妻子持ちの単身赴任の主人公の話です。 派手なシーンはありませんが、SF映画が好きなら見ても損はないかなと思います。
  • 月基地、探査車、モバイル通信などはかっこいい。ストーリーも謎解きで良かった。ずっと不思議な世界にいて、最後に現実世界と絡んで、急に現実味をおびる。

参考URL
・youtube.com