武士の家計簿のジャケット写真

磯田道史の『武士の家計簿「加賀藩御算用者」の幕末維新』を原作に「わたし出すわ」の森田芳光監督が映画化。江戸時代後期、激動の時代を世間体や時流に惑わされることなく、慎ましくも堅実に生きた武士家族を描く。

監督:森田芳光、原作:磯田道史、脚本:柏田道夫、出演:堺雅人 仲間由紀恵 松坂慶子 中村雅俊 草笛光子 

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「そろばんバカ」と呼ばれた猪山直之

会計処理の専門家である「御算用者」として代々、加賀藩に仕えてきた猪山家。この映画は、江戸時代後期を舞台とし、先行き不透明な激動の幕末維新の時代を生き抜いた猪山家の物語です。八代目に当たる猪山直之(堺雅人)は、優れた算術の才能を持ち、父と同じ職場で真面目に仕事をこなしていました。

熱心に仕事に取り組む直之なのですが、真面目すぎて融通の利かない性格から周囲からは、扱いにくい浮いた存在に捉えられてしまいます。周りから「そろばんばか」とさえ呼ばれるほど、直之はひたむきにそろばんへと向かうのです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=hRgk-GOmhtQ

直之とお駒の結婚

周りの人は、あまりに仕事熱心すぎて融通の利かない直之を心配し、縁談を進めていきます。相手は、町同心・西永与三八(西村雅彦)の娘、お駒(仲間由紀恵)。お駒の父親は、直之のことを、武士として剣術という点ではからっきしだが、会計方という点では算術の才能があると評価します。

そして、川で偶然出会った直之とお駒は、互いに惹かれ合い、無事結婚することになるのです。結婚初夜、結婚式の収支の記帳のために、いつもと変わらずそろばんをはじく直之。彼は、お駒に「これしか生きる術がない。不器用で多分出世も出来そうもない。それでもいいか?」と尋ねます。

「生きる術の中に私もお加え下さい」と答えるお駒と直之の姿には、夫婦として支え合う決意を感じとることができますね。また、この一場面には、真面目一辺倒だった直之が、妻の支えを得ながら、剣術でなくそろばんで生き抜いていく未来が暗示されていると言えるでしょう。

財政を正す直之

結婚し、ほどなくして御蔵米の勘定方を命じられた直之。飢餓で苦しむ農民にはお救い米が配られていました。幕府から供給された米と、お救い米として農民に配られた米の量に差があるとの騒ぎに出くわした直之は、独自に調査を始めます。そろばんをはじき、私服を肥やす役人の存在に気付いた直之は、上司に不正を訴えますが、発覚を恐れた役人に左遷を言い渡されてしまいます。

ところが、済んでのところで役人の悪事が暴かれ、直之は左遷から一転し、藩主である前田斉泰(山中崇)の執筆役へと異例の昇進を果たすのです。

一方、猪山家では息子直吉が4歳になり、武士として内外にお披露目する着袴の儀を執り行う日が近づいていました。お駒の「支度に金子が足りぬのですが…」との訴えにより、猪山の抱える多額の借金と財政難を知った直之は、紙に書いた鯛で着袴の儀を乗り切るなど、猪山家の財政を正すために奔走するのです。

息子直吉へ受け継がれる算術

直之の働きにより、年収の二倍を超える借金を抱えていることが分かった猪山家。直之は家財で売れるものは全て売り、質素倹約に努め、借金の返済に充てていくことを決意します。

愛用の品々を手放したくないと嘆く母や、世間体を気にする父に対して、直之は家を潰すことを思えば恥ではないと説得。家族がひとつとなって借金返済と財政の立て直しに乗り出したのです。細かく家計簿をつけ始めた直之。

まだ4歳の息子直吉にも厳しく算術を教えていきます。直吉は、一文のずれも許さない父のあまりの厳しさや、祖父が亡くなった日でさえもそろばんをはじき続けた父への反発心も持ちながらも、算術をしっかり受け継いでいきます。

成長した直吉(成之)は、算術の腕を見込まれ、新政府軍の海軍軍人として出世していくのです。直吉もまた、剣術ではなく、そろばんで激動の幕末を生き抜き、新しい時代を切り開く約を果たしていったのでした。

武士の家計簿の作品情報

武士の家計簿のジャケット写真
レンタル開始日
2011/06/08
監督
森田芳光
キャスト
堺雅人 仲間由紀恵 松坂慶子
上映時間
129分
GEOで購入!
武士の家計簿のユーザ評価

評価数:1499件
評価 :★★★☆☆(3.6/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 予想と違って普通に面白かったです。母が借りてきたのでついでに観ただけだったのですが、時代劇ものとゆう感じの意識で観ていたら、少し雰囲気が違って昔のホームドラマを今に近づけた様な、ほっこり観れる映画だったので中々良い映画だと思います。
  • 堺雅人ほか演技の上手いキャストをそろえただけに登場人物の細やかな心情が描かれていた秀作だと思う。ストーリーは経済官僚の矜持を主題としているが、質実剛健、質素倹約など日本人の精神基盤を改めて認識した。今の政治家、官僚にこのような志が失せているのが残念だ。おばばさまが関孝和の算術パズルを解いている場面もあり、日本人の知性も垣間見える。
  • 普通映画だと「山あり谷あり」という感じですが、この映画は「山は無いけど丘ぐらい、谷は無いけどくぼみくらい」の感じです。この起伏の無さがなぜか心地良く感じられます。年をとったせいか、こういう映画、私的には悪くありません。

映画「武士の家計簿」を気に入った方へおすすめの作品

「武士の献立」(朝原雄三監督:2013年公開) 加賀藩に実在した料理担当の武士、舟木伝内。「包丁侍」と呼ばれた武士は、君主とその家族の食事を作る仕事に就いていた。舟木伝内とその息子が残した料理本「料理無言抄」を題材に、江戸時代の武士の台所事情が見えてくる作品。料理の才能に秀でた春が、その腕を見込まれ、舟木家に嫁いできたことにまつわる家族の物語でもあります。

武士の献立の作品情報

武士の献立のジャケット写真
レンタル開始日2014/06/07
2014/06/07
監督
朝原雄三
キャスト
上戸彩 高良健吾 余貴美子
上映時間
121分
GEOで購入!
武士の献立のユーザ評価

評価数:3136件
評価 :★★★☆☆(3.6/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 包丁侍という言葉を初めて知りました。流血お色気シーンは一切なく家族で安心して観る事が可能です。恋愛要素のまとまり方も良くオススメです。
  • 武士の料理人のお話です。上戸彩さんの妻役が最高でした。でしゃばらず、おしとやかで、そのうえ料理上手ときた!もう素敵過ぎます!脇を固める出演者の方々も素晴らしいです。加賀料理食べてみたいなぁ!
  • 涙が溢れて止まらないとまではいきませんが、しっとりとした感動が待っているかたちにおさまっています。唯一気になったのがエンディングの曲です。これは、もっと作品に合う同じくしっとりとした曲の方がいいのでは…?せっかく丁寧につくられた作品が、この曲でぶち壊しです。その他は、バランスのとれた時代劇だったと思いますので、おススメです。こういう作品を、海外の方々にどんどん観てほしいような気がします。外国映画にもお料理がモチーフの映画がありますが(特にフランスとか)、対抗できるレベルだと思います。

参考URL ・youtube.com