殺人の追憶のジャケット写真

1986年、ソウル近郊の農村で若い女性の裸死体が発見された。無惨にも強姦されており、その後も同じ手口の殺人事件が相次いで発生。現地には特別捜査本部が設置され、地元の刑事パク・トゥマン(ソン・ガンホ)と短気な相棒のチョ・ヨング(キム・レハ)、そしてソウル市警から派遣されたソ・テユン(キム・サンギョン)は、この難事件に挑む。

監督:ポン・ジュノ、脚本:ポン・ジュノ シム・ソンボ、音楽:岩代太郎、出演:ソン・ガンホ(パク・トゥマン) キム・サンギョン(ソ・テユン)

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

田舎町の連続殺人事件

のどかな田園風景が広がる韓国の田舎町、華城市。そこで1986年の10月、農業用水路に捨てられた女性の死体が発見されます。そして2ヵ月後の12月にも、やはり女性の暴行死体が出現。同一犯による犯行と見られ、連続殺人事件として扱われることになります。

地元警察の刑事パクとヨングが捜査を担当することになりますが、はっきり言ってその捜査方法は、超がつくほど適当。現場の保存も不完全ならば、証拠品の扱いもいい加減というありさまでした。やがて捜査には、ソウルから来たソ・テユンという刑事も加わることになります。理性的なソと暴力適当刑事のパクは、初日から早速衝突。そんな中、1人の容疑者が浮上します。クァンホという軽度の知的障害を持つ男で、被害者の1人であるヒャンスクに付きまとっていたという証言がありました。

さっそくパクはクァンホを締め上げ、彼の靴を使って証拠を捏造。山の中に連れ込んで自白を迫ると、クァンホは思わぬことをしゃべりだします。それは犯行の詳しい描写で、彼の犯行を裏付けるような内容でした。クァンホが犯人だと確信したパクとヨングですが、物証は捏造の上、決め手も自白のみ。しかも後にクァンホが殺人を否定したため、逮捕状は棄却されてしまいます。捜査は振出しに戻り、捜査課長も交代。そんな中、ソ刑事は被害者がもう一人いると言い出します。

雨の日のリクエスト

その女性の名は、トッコ・ヒョンスン。2か月前から行方不明で、捜索願が出ていました。ソが彼女に目をつけたのは、他の二人と同じく美人で、失踪当時赤い服を着ていたこと、そして行方が分からなくなった日に雨が降ったという事実からでした。二件の殺人もまた、雨の日に行われていたのです。そしてソの予言通り、三人目の死体が見つかります。後手に回っていた捜査陣はここで、犯人の先手を打つことに。婦警のギオクに赤い服を着せ、雨の日に歩かせてみたものの、犯人は現れません。

しかしソとギオクはその日、帰宅途中の女子中学生から、学校の便所に現れるという変質者の話を聞きます。その同じ日、ついに第四の犯行が。場所はセメント工場の近くで、やはり女性が襲われ自分の持ち物で手足を縛られていました。今度はソの指揮で現場の保存を徹底させたものの、やはり決定的な物証は出ません。

手詰まりになったその時、ギオク婦警がある事実を指摘します。彼女が好きなラジオ番組に「憂鬱な手紙」という曲のリクエストがよく寄せられており、その曲がかかったのは犯行日と同じ日だというのです。ソはそれが犯人によるリクエストだとにらみますが、送られた葉書はすでに処分された後でした。

そんな中、パクとヨング、ソらはセメント工場付近で捜査中、現場に現れた怪しい男に気付きます。挙動をうかがうと、ズボンから女の下着を出して自慰行為をしている様子。3人は逃げる男を追跡し、何とか確保に成功します。

容疑者の逮捕

その男、ビョンスンは単なる変態でしたが、パクとヨングはいそいそと自白の強要に励みます。その様子を見ていたソは、ビョンスンの話に学校の便所の話題が出てきたことに着目。村では有名だというその話に、事件の手掛かりがあるのではと考えます。

学校に赴いたソはそこの教師から、便所に入ると聞こえてくるという「女の泣き声」の話を聞き、学校の裏にあるその女の家を訪問。女が語ったのは、去年の9月に受けた強姦被害の体験でした。そのやり口は、4件の殺人とまったく同じ。彼女も同じ犯人に襲われ、必死に男の顔を見ないようにしたことで助かったのでした。犯人について覚えていることはただ一つ。「女性のような柔らかい手だった」ということだけです。

署に戻ったソはビョンスンの手を確認しますが、それは全く違うものでした。そんな中、再びラジオからあの曲が。また雨の日がやってきたのです。そしてまたしても行われた殺人。今回の被害者は、膣の中から桃の実の欠片が発見されます。事件は混迷の度を増し、パクもソも疲弊していく中、曲をリクエストした男の身元が判明します。名前はパク・ヒョンギュ。テリョン村に住む28歳の男でした。

早速ソらはヒョンギュを拘束し、事件の日の行動を確認しますが、彼は自分の部屋でずっとラジオを聞いていたと主張します。見るからに女性的な彼を犯人とにらんで詰め寄るソに対し、ヒョンギュはあくまでも否定。するとそれまでさんざん暴力を抑えていたヨングが、たまらずヒョンギュにドロップキックをかましてしまいます。

終わらない事件

ソはヒョンギュが犯人だと確信していましたが、これ以上取り調べでの暴力は厳禁。何としても確実な証拠が必要な中、ソの頭にふと、あのクァンホの供述がよみがえります。聞き返して見ると、クァンホの口ぶりはまるで第三者としてのもので、自分の体験ではないようでした。

ソはクァンホが事件を目撃していたとにらみ、彼の家である焼き肉屋を訪れます。しかしそこではヨングが飲んだくれており、喧嘩騒ぎのまっ最中。パクが諫めようとしますが、そこへ戻ってきたクァンホがヨングを木の棒で殴りつけ、逃走してしまいます。

ようやく電車の線路脇でクァンホを捕まえたソとパクは、「ヒャンスクを殺した男の顔を見たか」と質問。クァンホはうなずきますが、ヒョンギュの写真を見せると、なぜか要領を得ない答えしか返しません。と、そこへ店でのケンカ相手が追いかけてきて、その隙にクァンホがまた逃げてしまいます。そして線路に出たクァンホを、走ってきた電車が吹き飛ばしてしまいます。

大事な証人は消えてしまいましたが、まだチャンスは残っていました。犯人の残した精液が発見され、アメリカでDNA鑑定を受けることになったのです。ヒョンギュのDNAと一致すれば、今度こそ動かぬ物証となります。とりあえずヒョンギュは釈放されますが、ソとパクは監視を続行。特にソは、もはや事件に憑りつかれていました。しかしそんな中、またしても同じ犯行が起こります。しかも今度の犠牲者は、ソに学校の変質者について教えてくれたあの学生でした。

理性がはじけ飛んだソはヒョンギュを捕まえ、激しい暴行を加えて自白を迫ります。と、そこへ駆け付けてDNA鑑定の結果を渡すパク。ソが勝利を確信して開いた結果は…「DNA不一致」。結局ヒョンギュは犯人と認められず、二人の執念も潰えて、事件は迷宮入りとなってしまいます。

そして時は過ぎ、2003年。転職して別の土地で暮らしていたパクは、仕事で久々に華城市を訪問。最初の死体が発見された用水路をのぞき込んで感慨にふけっていると、その後ろから少女がこう言って話しかけてきます。「この前もどこかのおじさんがそこをのぞいてた」と。さらにその男は、「昔自分がしたことを思い出して来てみた」と言っていたとのこと。少女に男の顔について尋ねると、「ふつうの、よくある顔」だと答えます。未だに自分を捉えて離さない事件の闇に、パクは1人戦慄するのでした…。

殺人の追憶の作品情報

殺人の追憶のジャケット写真
レンタル開始日
2004/08/27
監督
ポン・ジュノ
キャスト
ソン・ガンホ(パク・トゥマン) キム・サンギョン(ソ・テユン) パク・ヘイル(パク・ヒョンギュ)
上映時間
130分
GEOで購入!
殺人の追憶のユーザ評価

評価数:831件
評価 :★★★☆☆(3.6/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 現実に起こった韓国の未解決事件をモチーフにしてるから、最後の結末はなんとなく予想できちゃうけど、飽きないで見続けられる名作!!最後の最後で『うわっ。まじか。』っていいたくなる!
  • 警察を嘲笑うかのように繰り返される同一犯と思われる殺人。必死に捜索するも物的証拠が少なくて捜査は難航…。そんな手も足も出ない難事件に挑む刑事二人の鬼気迫る心境がスゴく伝わってくる作品だと思います。観ているこちら側も悔しさや歯痒い気持ちになってしまう程の圧倒的な作品の表現力と、ソン・ガンホさんの存在感がものすごいサスペンス作品だと思った‼ 観て損のない、むしろ観ておくべき作品の1つだと思う。今まで観ていなかった自分がこんな事を言うのもなんなんですが…ガッチガチのサスペンスではなく、割りと前半はコミカルタッチだし、結構観易いと思います。
  • これまで見た韓国映画の最高峰。実際に起こった猟奇的連続強姦殺人事件を題材に80年代の軍事政権下にあった韓国の現代史にもなっている。誰かが誰かが見ている…と云うことを意識して見ると更に深い。このラストシーンの衝撃はいつまでも心にズシンと来る。ソン・ガンホの演技、岩代太郎のエモーショナルな音楽、ポン・ジュノの演出。どれもが素晴らしい。

参考URL
・youtube.com