海よりもまだ深くのジャケット写真

是枝裕和監督による2016年公開の映画。第69回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門出品。離婚して独身の冴えない主人公(阿部寛)と、団地にある実家に住む母(樹木希林)など元家族・元夫婦を描いている。いつまでも大人になりきれない男とその母、元嫁と息子が、母が独り暮らしをする団地で偶然一晩過ごすことになり……。

監督:是枝裕和、脚本:是枝裕和、音楽:ハナレグミ、出演:阿部寛 真木よう子 小林聡美 リリー・フランキー

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自堕落な生活の息子と、心配する母

「篠田良多」は、母「淑子」が住む団地の実家を訪ねた。不在と知り家探しを始めるが、淑子が帰宅し、父の遺品である掛け軸の行方を尋ねると、捨てたと言われてしまう。

母子で久しぶりに思い出や近況を話していると、良多が中学の時に植えたベランダのみかんの木を、淑子は花も実もつかない木だが良多だと思って水をやってるのだと言った。そして、そんな木でも青虫がついて葉っぱを食べて育つことで、何かの役に立っているのだとも話す。

良多は、15年前に文学賞を受賞したが、それ以後は小説を出せていない。小説のためと言い探偵業で収入を得るが、生活は苦しい。所長の「山辺康一郎」に内緒で客と交渉して報酬を得たり、その報酬もギャンブルで消え、後輩の「町田健斗」からさらに借金をするような生活で、元妻「白石響子」への養育費も滞っていた。

過去への未練を断ち切れず、響子が付き合う男を調査して悪態をつくが、今の良太では、響子と暮らす息子の「真悟」に買ってあげようと思っていたグローブも影から見ることしかできない。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=nN4bzbwqtGg

なりたくなかった父と同じ行為をしていると知る良多 息子と団地の実家に向かう

月に1度の響子と真悟に会う日が近づき、金を得たい良多。和菓子屋に嫁いだ姉「中島千奈津」に借金をしに行くが、死んだ父も同じようによく借りに来たと聞かされ、うまくいかない。

そして、町田と協力して人妻と不倫関係にある高校生を脅す。高校生は金を渡しながら「あんたみたいな大人にだけはなりたくない」と毒づき、「なりたい大人になれると思ったら大間違いだ」と返す良多。だが、その高校生は所長の山辺が警察だった頃の上司の息子で、脅迫が山辺にばれてしまう。

金を取り上げた山辺は、元妻子に未練を持つ良多に「誰かの過去になる勇気を持つのが大人の男だ」と言うが、良多はパチンコ代として先に取ってあったわずかな金を持ち、予定通り元妻子に会いに行くのだった。

約束の日。良多は響子と真悟に会うが、響子は養育費を持ってこない良多に不快感を表す。それでも真悟と夕方まで過ごすことになった良多は、真悟に高額な野球のスパイクを買い与え、昼食のハンバーガーは空腹ではないからと言って自分は食べずに過ごす。通りがかりに見つけた宝くじの販売所で選び方を教えながら購入し、次は淑子の住む団地の実家へ向かう。

台風の夜、久しぶりに共に過ごす元家族・元夫婦

時間になってもなかなか帰宅しない真悟を迎えに団地を訪れた響子は、すぐに真悟を連れて帰ろうとする。が、激しくなる台風に淑子達の引き止めもあり、宿泊することになった。狭い団地の部屋で、久しぶりの元夫婦・元家族の時間を過ごす。淑子は真悟から自分を労る内容の手紙を聞かされて喜び、「宝くじが当たったら大きな家を買って一緒に住もう」と言われ、涙ぐんだ。

真悟が風呂に入ると、3人分の布団が並べられた部屋で響子と二人きりになった良多は、響子に迫る。しかし響子は拒否し、養育費を払わなければ次は会わないと言い放った。

家族が寝静まった頃、良多は再び家の中を探し回る。良多の行動を察した千奈津が仕込んだものを掴んで失望し、それから思い立って仏壇の線香立ての掃除を始めると、淑子が起きてきた。良太が線香立てを父に見立てているのだろうと察し、いなくなってからいくら思っても駄目なのだと言う。その後も良太と会話する淑子は「いつまでもなくした者を追いかけたり叶わない夢を見ていたら、毎日楽しくない」「幸せってのは、何かを諦めないと手にできないものなのよ」などと話すのだった。

「こんなはずじゃなかった」今から、前に進もうとする良多達

台風が本格化し大雨の夜。良多と真悟は、昔の良多と同じように、公園にあるタコすべり台のトンネルに入り、父子で会話する。一方、部屋では響子と淑子も和やかに会話していた。だが、淑子が復縁をもちかけると、響子は淑子を気遣いながらも否定。暗くなった空気を払うように淑子は話を終わりにし、真悟のへその緒を響子に渡す。

良多達のもとに響子も来る。用事で真悟がトンネルを出ると、良多は「こんなはずじゃなかった」とぼやいた。響子はそれに同意し「でも決めたんだから、前に進ませてよ」と言い、良多は「わかった。わかってた」と返す。戻ってきた真悟は、宝くじを落としたと言ってまた外に行き、良多も外に出る。響子も外へ探しに出た。

翌朝。晴れた空のベランダに宝くじが干される。良多は帰る途中に質屋に寄り、実家で見つけた硯を質に出すと、30万円の値が。そして、質屋の主人から、良多の父が配り歩いていたという良多の本に、硯と墨で本へのサインを頼まれた。墨をすりながら、良多は思いふける。

質屋を出て待たせていた響子と真悟に合流すると、3人は電車で移動。駅につくと、来月会う時に養育費15万支払う約束をし、元妻と息子は良多と別れた。

海よりもまだ深くの作品情報

海よりもまだ深くのジャケット写真
レンタル開始日
2016/11/25
監督
是枝裕和
キャスト
阿部寛 真木よう子 小林聡美 リリー・フランキー
上映時間
117分
GEOで購入!
海よりもまだ深くのユーザ評価

評価数:1004件
評価 :★★★☆☆(3.5/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 是枝節炸裂ですね。何処にでもありそうな日常…それをこれほど親近感と愛着で注げる雰囲気と表現が素晴らしい☆彡.。テーマとメッセージもしっかりと込められてあり感情移入しやすい。なんと言っても今作で一番の演技は樹木希林さんです!その馴染みやすく自然で心情豊かな演技に脱帽します。後半の彼女の台詞、そしてどんなになっても過去から未来含め息子を想っているその心が今思い出しても深く響いてます★阿部寛や真木よう子、池松壮亮等も安定なんですが希林さんの存在感には影を潜めますね。決してHappyやUnhappyな結末ではないですが、何処か見えない部分で一縷の光を見出すようなラストも染みました。テレサ・テンさんの歌のタイトルをそのまま起用されてますが、その歌も作品内に流れたりしてしっかりとリンクしてます。
  • 結末は少し余韻のある終わり方です。すっきりしたい人には物足りないかもしれませんがそこに行き着くまでの過程がとても細やかに描かれています。だめだめ親父を阿部寛が素敵に演じています。こんな映画が大好きです。
  • 樹木希林の演技はさすがとしか言えません。 息子役の阿部寛もタジタジ 先の先を読んでいる演技でした。 この母親にはかないません。

参考URL
・youtube.com