硫黄島からの手紙のジャケット写真

硫黄島の激戦を戦う日本兵たちの姿を描いた戦争人間ドラマ。同じ戦闘をアメリカ軍の側から描いた「父親たちの星条旗」と共に 硫黄島二部作 となる。監督は「父親たちの星条旗」と同じくクリント・イーストウッド。

監督:クリント・イーストウッド、脚本:アイリス・ヤマシタ、音楽:クリント・イーストウッド、出演:渡辺謙(栗林忠道中将) 二宮和也(西郷) 伊原剛志(バロン西)

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発掘調査隊が見つけた数百通の手紙

2006年、小笠原諸島硫黄島の地中から、数百通の手紙が発見されました。硫黄島は太平洋戦争末期の最激戦地、この手紙はそこで戦った戦士たちが家族へ宛てた手紙でした。

日々戦況が悪化している1944年6月、西郷一等兵(二宮和也)は来る日も来る日も散兵壕(敵から身を隠す穴)を掘らされることに、うんざりしていました。そこに小笠原兵団師団長の陸軍中将・栗林(渡辺謙)が指揮官としてやってきます。本土防衛の砦・硫黄島決戦に向けて、栗林中将はそれまで進めていた水際防衛作戦から、内地持久戦に変更します。また兵士たちに対する理不尽な体罰も禁止しました。それまでの司令官とは違う栗林中将に、兵士たちは希望を見出していきます。

※この映画で渡辺謙さんとともに主役を務める嵐の二宮君演じる西郷は、彼に惚れ込んだクリント・イーストウッド監督によって新たに作られた役だそうです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=0x54bOTdJA0

栗林中将の命令に背く古参将校たち

栗林中将は戦前アメリカやカナダの駐在武官として赴任した経験があり、国際情勢にも通じています。最新武器・強靭な兵力を持つ彼らとまともに戦えば、日本軍に勝ち目はありません。そこで持久戦に持ち込むため、栗林中将は地下トンネルの要塞作りを指示しました。

1945年2月アメリカ軍が上陸、古参の将校たちが固執していた水際防衛部隊は、簡単に破られてしまいます。摺鉢山を守れなかった足立少佐は、無線で栗林中将に玉砕を伝えます。それに対し栗林中将は、玉砕せずに退却しろと命令しました。しかし足立少佐はそれを無視し、伝令係の西郷に「自決命令書」を持たせます。部隊に戻った西郷は栗林中将の指示を伝えようとしますが、谷田大尉は「退却は恥」と玉砕を決定しました。

※栗林中将に反発し、私情で兵士たちを破滅に追い込んでいく将校たち。こんな人たちが戦争を率いていたのかと思うと、憤りを感じます。

生きて最後まで戦い抜け

「靖国で会おう。天皇陛下万歳。」その言葉を合図に、兵士たちは次々と手榴弾で自らの命を絶っていきました。納得できない西郷は清水上等兵(加瀬亮)とともに戦線離脱し、北部方面にいる伊藤大尉(中村獅童)の部隊に向かいます。しかし伊藤大尉は、西郷たちを脱走兵とみなし処刑しようとしました。間一髪でやってきた栗林中将に処刑を止められた伊藤大尉。栗林中将は伊藤大尉に、自分に従い最後まで生きて戦い抜けと指示します。

しかし栗林中将に反発している伊藤大尉は、摺鉢山奪還を目指しました。西竹一陸軍中佐(伊原剛志)が栗林中将の攻撃中止命令を伝えに来ましたが、それも無視した伊藤の部隊はアメリカ軍の猛攻撃により、次々と倒れていきます。

※栗林中将、西竹中佐など国際感覚に優れた人たち。生きるために最善を尽くす彼らの姿勢に感銘します。

刻々と迫る敗戦色

勝ち目がない戦に、西郷と清水は投降を試みます。しかし先に投降した清水は、アメリカ兵に殺害されてしまいました。そして西竹一陸軍中佐も目を負傷し、動けなくなります。千人以上の犠牲者を出した伊藤の部隊で、かろうじて生き残った数少ない兵士たち。西竹一陸軍中佐は彼らを本部に向かわせると、自分は自害します。

瀕死の状態で本部に戻ってきた西郷たち、しかし本部にはすでに水も食料もありません。大本営からの支援も断れれ、敗戦を覚悟した栗林中将は家族に手紙を書きます。そして栗林中将は、西郷に最後の命令を下しました。「自分が死んだら埋めてくれ。」そして、ついに最終決戦の日がやってきました。

※投降した清水を殺害するアメリカ兵、戦争は人を狂気に向かわせ全てを破壊するものだと実感します。

三度、栗林中将に助けられた西郷

栗林中将は西郷に、本部に残って資料全部を燃やせと命令します。命令に従って作業を完遂した西郷ですが、兵士たちの家族に宛てた手紙だけは燃やさず、土に埋めました。激戦の中、瀕死の状態にあった栗林中将は自害します。それを見届けた西郷は、栗林中将の遺体を土に埋めました。

そこにアメリカ兵がやってきました。彼らの一人が栗林中将の拳銃を持っているのを見た西郷は、逆上しショベルを振り回し暴れます。そのまま気絶した西郷が意識が戻した時、彼の目に映ったのは硫黄島の沖に沈んでいく赤い夕陽でした。そして現代に時は移ります。発掘調査隊が見つけた大量の手紙は、西郷が埋めた兵士たちの手紙でした。

※この映画は二宮君の代表作と言っても過言ではないでしょう。普通の生活をしていたパン屋主人の西郷が、ある日突然兵士に仕立て上げられ、戦争の最前線で戦わされる戦争というものの理不尽さ・悲惨さ。実にすばらしい演技で観客を魅了してくれます。

硫黄島からの手紙の作品情報

硫黄島からの手紙のジャケット写真
レンタル開始日
2007/04/20
監督
クリント・イーストウッド
キャスト
渡辺謙(栗林忠道中将) 二宮和也(西郷) 伊原剛志(バロン西)
上映時間
140分
GEOで購入!
硫黄島からの手紙のユーザ評価

評価数:1109件
評価 :★★★☆☆(3.9/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 監督が好きで見てみました。日本人がメインですが洋画ということもあり日本人が作る作品とは違った雰囲気がありました。配役として印象に残ったのは渡辺謙さんと二宮和也さんです。渡辺さんはさすがの演技で圧倒されました。嵐の二宮さんはアイドルの演技ではなくアカデミー賞をとっただけの演技力で驚きました。作品のイメージとしては、ただ戦争の話というよりも家族や友情、兵士の心情などが細かく描写されているように感じました。 心にぐさっとくる映画なので見たことのない方にはぜひおすすめです。
  • 日本人でもあまり知ることが少ない硫黄島の激戦を描いた作品。アメリカ制作ですが日本人の心やその時代をしっかりと描き、アメリカ寄りで無い所が素晴らしい。映像にも臨場感があり、より作品の世界に入れるのも魅力。この時代には非しか与えられなかった栗林司令官の人、軍人としての人間味もあり初の本土決戦であり負け戦だが日本の為、米軍に傷跡を残した激戦地。映画を見て歴史を知ってほしい作品の一つです。
  • アメリカが描いたとは思えない程リアルな日本人。 殆ど音楽もなく物語は坦々と進みますが、それだけに硫黄島にいる1人な気分に陥り、観ている間中目を背けたくなりました。 一分の狂いもなく真実かというと疑問だけれど、歴史を忠実に描こうとした真摯な思いを強く感じます。 反戦の思いを新たにしました。

姉妹作「父親たちの星条旗」もオススメ!

この映画は、クリント・イーストウッド監督による硫黄島プロジェクトで作成された2部作映画の、日本側視点の作品です。先に公開されたアメリカ側視点の作品「父親たちの星条旗」もおススメです。 「父親たちの星条旗」は、死闘が繰り広げられた硫黄島で撮影された、戦争勝利のシンボリックな写真「硫黄島の星条旗」をめぐる兵士たちのその後が描かれています。人生の終焉を迎えているブラッドリーは、「硫黄島の星条旗」に写された英雄として扱われてきました。しかし本当はブラッドリーは、その写真に写っていませんでした。本来であれば英雄と称えられるべき友、訂正できないままメディアや軍の宣伝に使われ苦悩するブラッドリー。戦争や軍、報道について考えさせられます。

父親たちの星条旗の作品情報

父親たちの星条旗のジャケット写真
レンタル開始日
2007/05/03
監督
クリント・イーストウッド
キャスト
ライアン・フィリップ(ジョン・“ドク”・ブラッドリー) ジェシー・ブラッドフォード(レイニー・ギャグノン) 
上映時間
132分
GEOで購入!
父親たちの星条旗のユーザ評価

評価数:773件
評価 :★★★☆☆(3.7/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 英雄とは何か…。硫黄島から帰還した英雄と称えられた兵士の心境を知りました。命を犠牲にする行為を理解するために英雄が作られることを理解しなければならない、そのようなことが伝わってきた気がします。この映画は見て損は無いでしょう。
  • 不況や戦時下の国家では情報操作などアタリマエなのでしょうね。戦場をわかりやすいひと言やワンシーンでドラマのように仕立てて資金を集めるとか、選挙で支持を得るとか。 なにやら、いろんな国にあてはめてみて、いろいろ考えさせられる映画でした。
  • 今の時代にこんな深みのある作品が送り出せること自体凄いと感じる。 正直、キャラクターは立ってないような気がするが、見てて影響しなかった。 これは、俳優とかアクションを見せるというよりは、監督が伝えたいことを全体を通して表現した作品にしたというか。 多くの映画でみられる「有名な主役」「山場」「英雄的行動」一切無しで淡々と描いていける凄さ…。 見て楽しくは無いが、一級品の作品だと思います。

参考URL
・youtube.com