私は貝になりたいのジャケット写真

反戦ドラマの不朽の名作を、中仲コンビでリメイク。第2次大戦直後、戦犯として死刑を宣告された平凡な男を軸に、戦争の不条理を描く。オリジナル版の巨匠自らが、家族ものの要素を加味した脚本に注目。

監督:福澤克雄、原作:加藤哲太郎、脚本:橋本忍、音楽:久石譲、出演:中居正広 仲間由紀恵 柴本幸 西村雅彦

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豊松に届いた召集令状

1944年、第二次世界大戦中の日本。清水豊松(中居正広)は土佐の海沿いにある小さな町で、妻の房江(仲間由紀恵)と理髪店を営んでいました。二人の間には5歳の健一という息子も居て、幸せに暮らしていたのです。豊松は、生まれつき足が悪く引きずるように歩いていたため、ずっと徴兵は免れていましたが、戦局も悪くなったことから、豊松の元にも赤紙(召集令状)が届きました。

房江は豊松の髭や髪を剃りながら、出会いからこれまでのことを振り返り目に涙を浮かべます。そして出兵の日…。近畿・中国地方に配属された豊松は、厳しい訓練にも耐えていましたが、足が理由で上官から暴力を受けることもありました。

ある日、B-29による空襲があり、高知を初めとする愛媛・徳島・姫路など6県の都市の8割が焼失してしまいます。日本軍もすかざず応戦し、B-29戦闘機は墜落させました。墜落したB-29の乗組員の捜索任務についた豊松。そして数人の米兵が捕らえられます。上官の命令を受けて豊松は、捕らえた米兵を刺殺しようとしましたが体をかすっただけで、捕らえた米兵は既に息絶えていたのです。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=pFvpPv4mcqQ

戦犯容疑で逮捕から刑の確定

やがて戦争は終結し、日本はアメリカMP(ミリタリーポリス:憲兵)の統治下に置かれます。豊松も妻と理髪店を再開し、再び平和な日々を取り戻しました。また、房江も2人目の子どもを妊娠しており、この上ない幸せが続くと思っていたのです。

しかしある日、自宅に警察隊が訪れ、豊松は戦犯容疑で逮捕され、連行されてしまいます。豊松の容疑は、墜落させたB-29戦闘機の米兵の殺害容疑でした。「捕虜は生かしておかねばならない」という、戦争の暗黙のルールを破り、殺害したとの理由で、その場に居た関係者はすべて逮捕されていたのです。

そして横浜での軍法会議。通訳を交えながらの裁判が行われ、豊松は「上官に命令された」との旨を訴えます。上官の命令は天皇陛下の命令だと主張すると、米兵たちから「陛下に会ったことがあるのか?なぜ断らなかったのか」と問われました。しかし、上官からすれば自分たちは奴隷と同じだと訴えますが、米兵からすると豊松の言ってる意味が全く理解が出来なかったのです。まして、ぎこちない通訳で言いたい事もまともに伝わらずに、豊松は憤りさえ覚えました。

そして判決が出ます――矢野中将と尾上中佐には絞首刑、それ以下の身分のものは重労働の刑が言い渡されます。身分の低い豊松もホッと安心しました。ところが、豊松は米兵殺害の実行犯と認定され、矢野たちと同じ絞首刑が言い渡され愕然とします。

死刑執行へのかすかな希望

一方的に裁判に掛けられ死刑囚になった豊松は、巣鴨刑務所のレッド地区5号棟に収監されます。そこは元々は独房でしたが、自殺者が後を絶たないためその防止策として2~3人を一緒に収容するようになっていました。

豊松が入った部屋には、大西三郎(草彅剛)という物静かで穏やかな青年がいました。彼もまた死刑囚のひとりです。豊松は大西に「何の罪を犯したのか」と尋ねると、大西は外地(外国)にいて嫌なことをしたとだけ告げ、言葉を濁しました。

また、死刑されるものは木曜日の早朝に呼び出され、金曜日の零時に死刑執行されるとの情報も教えてくれます。

そして翌朝、大西だけが呼び出されました。大西は豊松に「一晩だけでも何かの縁だ」と言い残して監房を去り、そのまま帰らぬ人となりました。大西に死刑が執行されます。

翌日、豊松は西沢という英語が達者な男と同室になります。西沢は、「絞首刑から終身刑になった者がいる」という噂があったため、アメリカ大統領宛に直訴状を書き、マッカーサ司令官に再審書も提出していました。

一方で、かつての上官だった矢野が「全ての責任は自分にある、下の者に罪は無い」との嘆願書を提出していたことを知ります。豊松は自身の窮状を配慮してくれる矢野に好意を抱き、矢野の散髪をして仲良くなります。

望み果てる…

房江は豊松が死刑を言い渡されたことを知りませんでした。そんな中、豊松と仲の良い小宮教誨師(上川隆也)に渡された手紙で、豊松の刑の事を知ります。その足で豊松が連行されたあと生まれた娘を背負い、健一の手を引いて刑務所へと向かいます。

その頃、刑務所では矢野の刑が執行されました。房江と面会した豊松は、房江の前で泣き崩れながら西沢が直訴状を書いてくれると伝えます。また、直訴状に200名の嘆願書をつければ刑が免れると聞いた房江は、嘆願書を集めることに奔走します。途中「日本人なら腹をくくって潔く死ね」と罵倒されながらも必死で200名の嘆願書を集めることができました。

一方、刑務所では矢野の処刑後、刑の執行がぱたりと止み、豊松を初め死刑囚たちはそれをいい兆候だと捉えます。さらに、房江が200名の署名を集めたことで、豊松も死刑は免れると確信したのです。

喜んだ豊松は、直子の手を握り、健一の手にキスをすると直子が泣き出してしまいます。見張りの米兵があやして泣き止みました。

ある日、豊松に「ブロックチェンジ」が掛けられます。西沢は「減刑だ」といって喜び、他の死刑囚たちも皿を叩いて祝福して喜びます。しかし豊松に言い渡されたのは、午前零時の絞首刑の執行だったのです。

そして…死刑執行

戦犯で死刑になった者は、家族に遺体も渡さず、埋葬場所も知らせないといいます。小宮は豊松に、髪の毛か爪でもいいから家族に残すよう助言しながら、「来世では何になりたいか」と豊松に尋ねました。

豊松は「これまでの人生パッとしなかったけれど、もう人間には生まれたくない。もし今度生まれ変わるとしたら、深い海の底にいる貝になりたい」と家族宛の手紙に綴りました。

深い海の底なら戦争もないし、兵隊もない。どうしても生まれ変わらなければいけないのなら、「私は貝になりたい」と…。直子をあやした米兵は、豊松が幼子を残して刑に処されることに涙をこらえながらその結末を見送ったのでした。一方、房子は豊松が帰ってくることを信じて待っています。死刑が執行されたのも知らずに……。

私は貝になりたいの作品情報

私は貝になりたいのジャケット写真
レンタル開始日
2009/06/03
監督
福澤克雄
キャスト
中居正広 仲間由紀恵 柴本幸 西村雅彦
上映時間
139分
GEOで購入!
私は貝になりたいのユーザ評価

評価数:511件
評価 :★★★☆☆(3.7/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 主演にSMAPの中居正広、その妻役を仲間由紀恵。他にも草彅剛、笑福亭鶴瓶、泉ピン子も主演し、キャストが豪華です。第二次世界大戦時、アメリカ軍に怪我をさせた主人公は、終戦後に特殊警察に逮捕され、裁判で理不尽な判決をされます。戦争の残酷さ、何故「私は貝になりたい」なのか、考えさせられる作品です。
  • SMAPの中居正広が悲劇の主人公を演じていますが、よく豊松を演じていたと思います。何となく大げさな演出もありますが、特に不快に思うこともありませんでした。歴史に埋もれそうな悲しい事実を伝えることもこの映画の目的の一つだと思いますが、映画の中の悲しい、寂しい、楽しいといった表現を演技や音楽で一生懸命伝えようとしているように感じました。 ストーリーは暗いです。最後もハッピーエンドではありませんが、見応えはあります。知らず知らずの内に引きこまれて行きました。見てよかったと思います。
  • 石坂浩二さん演じる「矢野中将」は素晴らしかった。 オリジナルもステキでしたが「下北山の件は自分に責任がある!」と、一貫して貫き通す、意志の強い帝国軍人を見事に演じていたと思います。(逆に言うと、六平さんが戦犯裁判で見せた表情なんて、さすが「むさか」!黒澤組!って感じ)

参考URL
・youtube.com