空中庭園のジャケット写真

隠し事をしないと言うルールの下で暮らす家族の、崩壊と再生を描いたブラック・コメディ映画「空中庭園」。監督は「ナイン・ソウルズ」の豊田利晃。角田光代原作の同名小説を基に、豊田監督自身が脚色。

監督:豊田利晃、 原作:角田光代、 脚本:豊田利晃、 出演:小泉今日子 板尾創路 鈴木杏 広田雅裕 國村隼 瑛太 今宿麻美 勝地涼 ソニン 永作博美(特別出演) 大楠道代

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隠し事は一切しない、絵里子の理想の家族像

シングルマザーのさと子に育てられた絵里子と兄。貧しく虐められ、母から優しくされて育った記憶もなく、たださと子を恨んで生きてきた絵里子。自分はああはならないと誓い、夢だった家族を持てた時、自分の理想の家族像を作り上げるために、日々努力を惜しまない。

広い団地の一室に自分が望んでいたベランダでのガーデニング、優しい夫、貴史に高校生の娘マナと中学生の息子コウ。絵里子の望んだ宝物の家族。京橋家には絵里子の決めたルールがある。

それは、何があっても決して隠し事をしないこと、どんな些細なことであってもだ。普通なら家族だからこそ話せない話や、言いたくないこと、そんなこともすべて含めて隠し事はしない、どんなことでも話し合える家族。それこそが絵里子の理想とする家族だった。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=PND4ENLr7ao

それぞれの秘密

しかし、絵里子の思いとは裏腹に、みんなそれぞれ秘密を持っていた。

貴史はSM好きの「人とは違う一風変わった女性」と、不動産屋のミナの2人と浮気をしており、マナは実は虐められていて学校の時間は繁華街でお菓子を食べて時間を潰し、コウはゲーム作りに熱中しすぎ、引きこもりとなっている。

そして、絵里子自身も家族には言えない大きな秘密を隠し持っていた…。

心の闇とともに崩壊し始める家族

コウはゲームに取り込む街を写真に取り込んでいたが、ある日家庭教師としてミナを家に連れてくる。不信感を抱きつつも、自分から行動的に動くコウではないので、絵里子はコウの成長を感じると共に羨ましくも感じた。

偶然母のさと子とミナが同じ誕生日であることを知った絵里子が、合同で誕生日会を開くことに。相手の顔色を窺い、取り繕いながら笑顔で接する家族にミナは「学芸会みたい。」と吐き捨て、自分が貴史と浮気していることを臭わせる。貴史は慌てるが、絵里子は何も気にしていないそぶりを見せ平然を装う。

が、次第に狂い始めてゆく絵里子――皆が帰宅した後、ケーキの前に2人残された絵里子とさと子。崩壊し始めた絵里子の感情は抑えることができなくなり、今までの黒い感情をすべてさと子にぶつけ「死ね。」と言い放つ。さと子は肺がんを患っており、そのまま倒れ入院する。翌日お見舞いに行った絵里子は兄に会い、「母はいつもお前が大事で、お前の話ばかりしている。」と聞き、困惑する。

血の雨とともに、本当の家族として再生してゆく

その日の夜、絵里子は産まれてからこれまでの自分が嫌悪していた記憶を巡らせていると、さと子から誕生祝いの電話が来る。愛されていないと思っていた母に愛されていたこと、これまでの自分のことを思い、土砂降りの中ベランダに立つ。顔には取り繕った笑顔を浮かべ、血の雨の中立っている絵里子。

これまでの絵里子は、自分の気持ちをただ抑え、ピエロのように血の雨の中笑っていた。そんな中、夫の貴史と娘のマナ、息子のコウは、絵里子の誕生日プレゼントを買い、バスに乗って絵里子が待つ家へ向かう。娘のマナが父の貴史に「母をもっと愛して。」というが、「あんなちっぽけでしょうもない家を必死で守り、それに付き合ってあげている自分が愛していないわけがないだろう。」と真剣に話す。

血の雨とともに自分の気持ちをすべて吐き出せた絵里子は雨の中発狂し、帰ってきた家族を「おかえり。」と笑顔で出迎えるのだ。

空中庭園の作品情報

空中庭園のジャケット写真
レンタル開始日
2006/05/26
監督
豊田利晃
キャスト
小泉今日子 板尾創路 鈴木杏
上映時間
114分
GEOで購入!
空中庭園のユーザ評価

評価数:154件
評価 :★★★☆☆(3.2/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 高層マンションのベランダのガーディニング。そう空中庭園ですね。普通の家族のようで、実は普通でない家族。それぞれの過去や思惑が、壊れそうでいてかろうじて均衡を保っているような、回るゆれる空中庭園なのです。それこそが、現実の普通の家族なのでは。観る価値あり。
  • 冒頭5分で「あ、これは面白いはず!」となって、そっからいい意味で一切期待を裏切られなかった。家族のお話は大好きなんで、もう最高でした。
  • 平穏に見える家族も「板子一枚下は地獄」、といった家族の危うさをテーマにしたホームドラマ。いじめや母親との葛藤といった過去を持つためにことさら砂上の楼閣のようなしあわせな家庭を作ろうとした主婦を小泉今日子が好演していた。

9人の男たちの脱獄を描く「ナイン・ソウルズ」もオススメ

豊田利晃監督作品繋がりで今回私がオススメするのは「ナイン・ソウルズ」です。同じ部屋の囚人9人が、ある日監獄部屋の中に1匹のネズミを発見したことから、外に繋がっている場所があるのではと考え、試行錯誤しながら脱走を図る。囚人ですが、やり残して後悔していることを1人1人やり遂げるために必死で逃げる。必死で生きようとする。その先に待ち構えている運命、結末はいかに…。賛否両論分かれる作品であるとは思いますが、お時間があったら是非ご覧くださいませ。

ナイン・ソウルズの作品情報

ナイン・ソウルズのジャケット写真
レンタル開始日
2004/01/21
監督
豊田利晃
キャスト
松田龍平 原田芳雄 國村隼 千原浩史
上映時間
120分
GEOで購入!
ナイン・ソウルズのユーザ評価

評価数:122件
評価 :★★★☆☆(3.3/5)

クチコユーザの評価・ネタバレ
  • 父親殺し、爆弾魔、脱獄王、息子殺し、元暴走族総長などなど、様々な罪を犯した9人が脱獄し、おのおの自分らが犯した罪に対しケリをつけるのですが、静かなケリの付け方もあれば、なかなかのハードなケリの付け方もあり、血が苦手な方は厳しいかもしれません。もう一度希望を持とうとした9人が、明るくコミカルに描かれてますが、その裏返しで「人生そんなに甘くはないんだぞ!」ってゆうブラックなメッセージを感じた作品でした。
  • 脱獄し、それぞれの人生のケジメをつけにいく。現実味ある話の割りに、仮想世界の話のようにリアリティがない。そこが、格好良さを強調しているのだけど、オカシイ!って思う人もいるかもしれない。
  • 出演者の井上順さん、かくし芸大会の劇で観なくなってから久しいですが、えらい目に遭う人の役で楽しませてくれます。原田さんたちの訪問で家庭がめちゃくちゃにされ、奥さんに去られますが、その奥さんも外人さんで、どっちにしてもえらい目に遭う人のようです。マメ山田さんも比較的普通の役で、もっともらしいことを言うところが面白いです。大きな期待をせず、結構豪華な出演者を一人一人見つける楽しみに浸りたいときに適した作品です。しかし、贔屓目ではないですが、Jrさんと板尾さんは地の演技でしょうか、相変わらず楽しませてくれます。

参考URL
・youtube.com