コーヒーが冷めないうちにのジャケット写真

「コーヒーが冷めないうちに」は川口俊和の戯曲・小説を元に映画化されました。2018年9月に公開されたこの映画は、公開からわずか4日間で29万5000人の観客を動員するほどの人気作品です。ある喫茶店のある座席に座り、いくつかの条件を果たすとタイムトラベルができるという夢のような設定が好評で、日本国内のみならずタイなどでも公開されて話題を呼びました。

もともと劇団音速かたつむりの演出家・脚本家である川口俊和が演劇ワークショップ用に書いた作品で、舞台でも何度も公演が行われ、さらに2013年には第10回杉並演劇祭大賞も受賞しました。

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

スタッフ・キャスト

監督:塚原あゆ子
脚本:奥寺佐渡子
出演:有村架純 伊藤健太郎 波瑠 林遣都 深水元基 松本若菜 薬師丸ひろ子 吉田羊 松重豊 石田ゆり子

不思議な喫茶店「フニクリフニクラ」

映画の舞台となっているのは、とある街の「フニクリフニクラ」という名前の喫茶店。この店のある席に座ると望んだ過去の時間にタイムトラベルができるという都市伝説がまことしやかにささやかれていたのです。

ただし、タイムトラベルにはいくつかの条件があります。まず、過去に戻れるのはコーヒーが冷めるまでの間だけ、過去に戻れたとしても席を立って歩くことは許されておらず、店の外に出ることはできません。さらに、会える人は以前この店を訪れたことのある人だけに限定されています。また、過去に戻ってどんな努力をしたとしても、現在を変えることは決してできません。加えて、現在のこの席に先客がいた場合、その人が席を離れなければ座ることができないのです。この先客とは、いつも同じワンピースを着た女性で、その正体は幽霊です。彼女が席を離れるのは1日に1回、トイレに立つ時だけと決まっているため、タイミングを計るのは大変です。こういったルールをよく承知してからでなければ過去には戻れません。

喫茶店のマスターは時田流(深水元基)、物静かで無口な性格です。なお、小説版では流の妻で、心臓に持病を持った時田計が出演しますが、映画では出てきません。
喫茶店でコーヒーを淹れるのは、マスターのいとこの時田数(有村架純)です。都市伝説の通り過去に戻れたとしても、彼女が淹れたコーヒーを温かいうちに飲み干さなければ現代に戻れません。このルールを破ってしまうと、タイムトラベルをした人物が幽霊になってしまいます。これもこの喫茶店におけるタイムトラベルのルールなのです。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=ekipOg9jkTI

喫茶店を訪れるさまざまな人たちのストーリー

この映画はいくつかのストーリーをメインに進んでいきます。第一話に出てくるのは、アメリカへ旅立った賀田多五郎(林遣都)と、彼の幼馴染であり、彼のことが好きなのにプライドが邪魔をして素直になれない清川二美子(波瑠)の2人です。

五郎から「アメリカに行く」と告げられた二美子は、つい口論をしてしまいますが、その瞬間を何とかやり直したい二美子は、この喫茶店を再び訪れます。この喫茶店で彼と待ち合わせをしたときはプロポーズされるかもと胸をときめかせていたのに、五郎の口から出た「アメリカの企業に入社する」という言葉はあまりにも意外なものでした。美子は素直に「行かないで」と気持ちを伝えることができず、ひどく後悔します。

この喫茶店には過去に戻れるという噂があることを思い出した二美子はすがる思いで訪れますが、時田数に「たとえ行かないでと正直な言葉を伝えても、彼がアメリカに行く事実は変わりません」ときっぱりと言われてしまいます。

それでもかまわないと答えた二美子は、数にコーヒーを注いでもらいます。ふと気がつくと、過去に戻っており、目の前には五郎が座っていて、帰り支度をしているところでした。二美子は精いっぱい自分の心を伝えます。すると、五郎の口からは、「僕は君にはふさわしくない、君はいつか、もっとかっこいい男を好きになると思っていた。でも3年経ったら必ず戻ってくるから」という言葉が出たのです。

二美子はその言葉を聞いてコーヒーを飲み干すと、また意識が遠のき、気がつくと目の前の五郎は消えていました。やはり過去を変えることはできませんでしたが、未来は変えることができると吹っ切ることはできたのです。

この一部始終をカウンターで見ていた新谷亮介(伊藤健太郎)は、それ以来カウンターでさまざまな人々のタイムスリップを観察し始めます。そして亮介は時田数と話をするようになり、幼いころ近くに住んでいたということが判明し、だんだん数に恋心を抱くようになるのです。

若年性アルツハイマー病の夫と看護師の妻

2番目のストーリーに登場するのは、高竹佳代(薬師丸ひろ子)と彼女の夫・房木康得(松重豊)です。佳代は喫茶店によく通っていますが、若年性アルツハイマー病を患っているため、時田数を見ても「新しく入ったバイトの方ですか?」などと話しかけることも珍しくありません。
佳代は房木が自分の夫かも分からず、名前も思い出せないほど。さらに、佳代は夫に手紙を渡そうとしますが、そのことさえすぐに忘れてしまうのです。

そんな妻を見ている康得は、過去に戻って手紙の内容を聞いてみようと思いたち、タイムスリップを実行します。気がつくと、目の前に病を発症した直後の佳代が座っていました。康得は佳代に未来から来たことを告げ、手紙のことを尋ねます。手紙はやはり夫宛のものでした。康得はその手紙が欲しいと佳代に頼むと、佳代は手にしていた手紙を康得に渡したのです。康得が現実に戻ると、確かに康得の手には佳代の手紙が握られていました。手紙には、病気がひどくなって夫に迷惑をかけていないか心配していること、それでもずっと夫婦でいたいことが書いてありました。この手紙を読んだ後、康得は夫として妻を支えて行こうと決心したのでした。

この頃から亮介と数は友達として親しくなっていました。そんなある日、亮介は喫茶店の幽霊の正体を知ります。あの女性は数の亡くなった母親だったのです。数の母は死んだ夫に会いに行き、戻ってこられず幽霊になってしまったのでした。母に置いていかれたと語った数に対して、どうにかしてあげたいと亮介は考えていました。

時は母の真実を知るためにタイムスリップをする

数と亮介は恋人となり付き合うようになっていました。亮介は自分の両親に数を紹介していたのです。そんなとき、二美子と時田流の会話からこの店は未来に行くこともできることを知ります。この話を知った亮介は、数に客として店に来ることを提案します。

その日、数が店に入ると中学生くらいの少女がいました。実は、この少女は数と亮介の娘なのです。そして時田家の女性が淹れたコーヒーならばタイムスリップができるため、数はコーヒーを飲んで過去の母に会いに行きました。

数は母親に会うことができ、そこで母は未来の数へ会いに来ていて時がケガをしたため心配して帰りそびれたのだという事実を知りました。数は母に置いていかれたのではないと知って涙を流して喜ぶのでした。

その後結婚した数と亮介の間には女の子が生まれ、「未来」と名付けられました。成長した未来は母にコーヒーを淹れてもらい、過去のあの日にタイムスリップするのでした。

コーヒーが冷めないうちにの作品情報

コーヒーが冷めないうちにのジャケット写真

レンタル開始日
2019/03/08
監督
塚原あゆ子
キャスト
有村架純 伊藤健太郎 波瑠 林遣都 深水元基 松本若菜 薬師丸ひろ子 吉田羊 松重豊 石田ゆり子
上映時間
117分
コーヒーが冷めないうちにのユーザ評価

評価数:1383件
評価 :★★★★☆(4.1/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 久しぶりに声を出して泣きました。ただのオカルトチックな話かと思いきや…。豪華俳優さんがたくさんで贅沢な映画です。
  • とにかく深いストーリーでした。クライマックスは涙が出そうになりました。こんなに深い作品だと分かってたら劇場で見たかったです。
  • 大人なら誰もが経験のある、あのときにあーしてれば!それをかなえてくれる素晴らしいお店。でも、起こってしまったことは変わらない。大事なのは、残されたものの気持ちであることを教えてくれる作品。有村架純さんの可愛らしさも光ります。

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原作者の川口俊和は1971年生まれで大阪府茨木市出身の劇作家・小説家です。この小説を書いたころは「劇団音速かたつむり」の主宰でしたが、その後は「1110プロヂュース」を主宰するようになります。代表作には本作の他に「COUPLE」「family time」「夕焼けの唄」などがあります。なお、今回の作品の続編にあたる「この嘘がばれないうちに」は25万部を突破、さらにシリーズ最新刊「思い出が消えないうちに」も発売してまもなく8万部を突破したという人気シリーズです。