火垂るの墓のジャケット写真

ジブリ作品「火垂るの墓」は高畑勲監督が手掛け、1998年に「となりのトトロ」と同時上映されました。第58回直木賞に選ばれた、戦争体験をもとに書かれた野坂昭如の同名短編小説が原作となっています。

本作はキャッチコピーの通り、第二次世界大戦で戦争孤児となった14歳の清太と4歳の節子が、懸命に生きぬこうとした姿を描いています。日本カトリック映画大賞・ブルーリボン特別賞・文化庁優秀映画など多くの賞を受賞しました。終戦間際の日本を描いた作品のため、過去にテレビ放送された時期はほとんどが8月となっています。

ここからネタバレ!閲覧にはご注意ください!

スタッフ・キャスト

監督:高畑勲
脚本:高畑勲
出演(声):辰巳努 白石綾乃 志乃原良子 山口朱美

家と母親を失った清太と節子

「昭和20年9月21日夜、ぼくは死んだ」清太の独白から物語が始まります。戦後間もない神戸の駅、主人公である清太はがりがりにやせ細った体でただ柱のそばにうずくまっているだけでした。大半は見て見ぬふりをする大人たちだけでしたが、中にはおにぎりをそっと置いていく人もいます。しかし既にそのおにぎりを口にすることも叶わず、清太は力尽きます。倒れた清太から遺品であるドロップの缶を見つけた駅員でしたが、そのまま捨ててしまいます。中から骨が出てくると、この季節にはいるはずのない蛍が現れました。

舞台は昭和20年初夏の神戸に戻ります。海軍大尉である父親は長く家を留守にしており、清太は14歳ながら心臓の悪い母親に代わって一家の留守を預かります。父親は不在とはいえ、海軍大尉といえば当時のエリート階級。清太と節子たちは戦時中とはいえ何一つ不自由な思いをすることなく、裕福な暮らしをしていました。

しかし、そんな生活も戦争の魔の手によって一変するのです。ついに6月5日、神戸に空襲警報が鳴り響きます。清太は体の弱い母親を先に避難させ、自分は家の中を片付てから妹の節子をおぶって避難しました。清太の行き先は既に火の海と化していましたが、海へと迂回しながら火の手を逃れます。清太と節子は一面の焼け野が原になってしまった神戸の街にあぜんとしながらも、離れ離れになってしまった母親と落ち合うために、清太は節子をいったん親戚に預けると避難所となっている小学校へと向かいました。

しかし、そこで目にした母親は全身大やけどを負っており虫の息でした。母親のあまりの変わりように、その場から逃げ出してしまった清太。再び母親を訪ねた時には、既に母親の息はなかったのです。大勢の人と一緒に荼毘に付された母親の遺骨を持ち帰った清太ですが、節子に真実を告げる勇気はなく、「母親はまだ入院している」とごまかします。母親を失い、家も焼かれてしまい住む場所を無くしてしまった二人は、予め親同士が示し合わせてあった西ノ宮の親戚の元に身を寄せます。


出典:https://www.youtube.com/watch?v=4vPeTSRd580&t=22s

叔母の家での居候生活

親戚の家は、未亡人の叔母・叔母の娘と下宿人が住んでいました。父親が海軍のエリート階級だったため裕福な家庭に育った清太は、万が一のために備蓄した食料や価値のある母親の形見である着物を持っており、叔母にも優遇されます。しかし学校も焼けてしまったため昼間からずっと節子と遊び、防火活動にも参加しない清太を段々と叔母は疎ましく思っていきました。そのため、二人に対して辛辣な物言いもしばしば。

そんなある日、叔母が母親の着物を売ってお米を手に入れようと提案します。当然二人は反対、特に幼い節子は泣いてその提案を拒みますが、最終的にはお米に変えられてしまいました。しかしそのお米も自分たちばかりで食べ、清太や節子にはほんのわずかしか与えませんでした。この件によって叔母と二人に強烈な亀裂が生じ、ついには母親の残してくれた遺産を使って道具をそろえ、叔母たちとは別に食事をとる始末。

そして節子は険悪な空気に耐えかねて「叔母の家にはいたくない、家に帰りたい」と言い出します。清太は節子を連れて、とうとう叔母の家を出ることにしました。

節子と清太防空壕での二人暮らし

行く当てなどないため、二人は防空壕で暮らし始めました。近所のおじさんには「二人で暮らすのは無謀だから謝って叔母さんの家に戻りなさい」と諭されますが、戻るつもりはありません。清太と節子は近くを流れる川で捕まえた魚やタニシ、カエルなどを食べ、つつましくも楽しく暮らしました。

ある晩清太は甕の中に蛍をびっしりつめこみ、蚊帳の中で放して明かり代わりにします。蛍の幻想的な輝きは、孤独な二人の心を温めてくれたのです。翌朝死んでしまった蛍たちをみて、節子は「お母さんもお墓にいるのだから、蛍にもお墓を作ろう」と言います。節子には秘密にしていた母親の死ですが、既に叔母が節子に告げてしまったのです。

しかし自由気ままな暮らしを続けるには、清太と節子では幼過ぎました。孤立している二人には助けの手も、食料の情報も届きません。配給も途絶えがちになり、とうとう食料は底をついてしまったのです。

清太と節子の死と再会

目に見えて弱っていく節子を助けるために、清太は畑泥棒や避難して無人となった家に押し入って火事場泥棒をして、必死に食べ物を探しました。しかしある晩作物を盗んでいるところを農夫に見つかり大目玉を喰らった挙句、警察へとたたき出されます。釈放された清太ですが、節子の体の不調は治まらず、ついには防空壕の近くで倒れてしまいます。慌てて病院へと駆け込む清太ですが、医者は「栄養失調だから滋養のあるものを食べさせなさい」と言うだけ。思わず清太は「滋養なんて、どこにあるのだ!」と言い返します。

それでもなんとか節子に美味しいものを食べさせようと、銀行に残りのお金を下ろしに行った清太は、日本が戦争に負けたことや父親の乗っていた艦隊がせん滅したことを知ります。下ろしたお金で節子にスイカを買ってきた清太ですが、節子は口にすることも出来ないほど衰弱していました。節子は横たわったまま小石をご飯だといって清太に渡し、再び目を覚ますことはありませんでした。

たった一人残された清太は、残ったお金で節子を火葬します。丘の上で節子の体が燃え尽きるまでじっと見つめる清太。節子が大好きだったドロップの缶に遺骨をつめると、そのまま防空壕に戻ることはありませんでした。帰る家も家族も失った清太はあてもなくさまよい続け、最後には三ノ宮駅内でただただ死を待つのみでした。そうして冒頭のシーンへと繋がります。幽霊となって再会を果たした清太と節子は、山の中のベンチに腰掛け、戦後復活を果たした神戸の街を見守ります。

火垂るの墓の作品情報

火垂るの墓のジャケット写真

レンタル開始日
2000/12/16
監督
高畑勲
出演(声)
辰巳努 白石綾乃 志乃原良子 山口朱美
上映時間
88分
火垂るの墓のユーザ評価

評価数:2498件
評価 :★★★★☆(4.1/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 戦争の悲惨さを描いた悲しい物語で二度とこのような悲劇を招いては決していけないと強く思う映画です。
  • 子供の頃に見て、数十年ぶりに見たくなり、レンタルしました。 オープニングから号泣してしまいました。 セイタとセツコの運命がかわいそうすぎて、見た後 しばらく引きずるくらいでした。 本当に悲しい物語です。
  • 監督本人が仰ってるようなのですが、反戦映画ではないです。幼い兄弟のイノセントな愛情が描かれています。彼らの無垢にヤキモキする気持ちもあるのですが、幼さとはそういうものなのです。是非再評価されて欲しい作品です。もっと違った見方を聞きたいと思います。

おすすめの関連作品

火垂るの墓はジブリ作品によるアニメ映画化だけではなく、2005年にはテレビドラマ化・2008年には日向寺太郎監督による実写映画化もされました。それぞれ本作とは異なっている点があるので、見比べてみるのもいいでしょう。2018年に82歳の生涯を閉じた高畑勲監督ですが、本作以外でも「おもひでぽろぽろ」「平成狸合戦ぽんぽこ」「かぐや姫の物語」など、監督してスタジオジブリ作品を手掛けています。スタジオジブリの設立前にも、「太陽の王子 ホルスの大冒険」「パンダコパンダ」「じゃりン子チエ」などの監督を務ました。また、2016年に公開されたフランス・ベルギーとの合同アニメ映画「レッドタートル ある島の物語」ではアーティスティックプロデューサーとして関わっており、精力的に活動していました。

第二次世界大戦を描いたアニメ映画はその他にも、広島の原爆を描いた「はだしのゲン」や、同じく戦時中の広島呉を舞台とした「この世界の片隅に」などがあります。いずれも原作となる漫画があるため、映画と一緒にチェックしてみてはいかがでしょうか。

火垂るの墓(実写版)の作品情報

火垂るの墓(実写版)のジャケット写真

レンタル開始日
2009/04/15
監督
日向寺太郎
キャスト
吉武怜朗 畠山彩奈 松坂慶子 松田聖子 江藤潤 高橋克明 山中聡 池脇千鶴 千野弘美 鈴木米香 矢部裕貴子 谷内里早 萩原一樹 原田芳雄 長門裕之
上映時間
100分
火垂るの墓(実写版)のユーザ評価

評価数:527件
評価 :★★★☆☆(3.7/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 病弱な母、幼い妹、大切な人を失い辛い生い立ちとなった彼の心境はどれだけ辛かったか。ジブリで観ていたので是非実写版をと思い手に取りました。 今の戦争を知らない私達には、計り知れない恐怖しかなかったんでしょうね。 泣けました。
  • 悲し過ぎて、直視出来ないひとが多いと思いますが変えることのできない過去の事実をこの映画で知ってほしい。
  • アニメの内容と少し違う場面があったが、やっぱりかわいそうな内容だった。

おもひでぽろぽろの作品情報

おもひでぽろぽろのジャケット写真

レンタル開始日
2003/04/16
監督
高畑勲
キャスト(声)
今井美樹 本名陽子 柳葉敏郎 伊藤正博 寺田路恵 山下容莉枝 三野輪有紀 北川智絵 仙道孝子 後藤弘司 石川幸子 渡辺昌子 伊藤シン 飯塚雅弓 押谷芽衣 小峰めぐみ 滝沢幸代 石川匡 増田裕生 佐藤広純
上映時間
119分
おもひでぽろぽろのユーザ評価

評価数:1685件
評価 :★★★☆☆(3.8/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 宮崎駿さんが「この作品は高畑勲さんでしか作ることができない」という強い思いで制作された作品。 ジブリにしては派手で子供にも分かりやすいかといわれたら、そうでもないが高畑監督らしい良いドラマだ。
  • 27才女性が人生の岐路に立ち、迷いながら進むストーリーです。挿入歌の「愛は花、君はその種子」がとても素敵です。洋画のローズのテーマ曲ですよね。
  • あー!どうしてもっと早く見直さなかったんだろうー!子供時代は訳がわからなかった、あのセリフ、あのシーンが、30代になった今、わかる。染みる。とてつもなく染み込んでくる。私の心の中の言葉をこの主人公が代弁してくれてるみたいな錯覚に陥る。恋につまずいた時、家族喧嘩した時、泣きながら私はまたこの映画を見るだろう。

平成狸合戦ぽんぽこの作品情報

平成狸合戦ぽんぽこのジャケット写真

レンタル開始日
2003/01/16
監督
高畑勲
出演(声)
古今亭志ん朝 野々村真 石田ゆり子 泉谷しげる 山下容莉枝 神谷明 黒田由美 村田雄浩 九代目林家正蔵 福澤明 三木のり平 清川虹子 芦屋雁之助 桂米朝 五代目桂文枝 五代目柳家小さん
上映時間
119分
平成狸合戦ぽんぽこのユーザ評価

評価数:3407件
評価 :★★★☆☆(3.9/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 社会風刺的な内容で考えさせられます。こんなに大掛かりな開発をしたのに今や高齢化が進み居住者もいなくなっているとか。。。
  • 人と自然と動物との共存と、 昔話の世界観が、下地に有り、 2000年代の実在のたぬき達も、人の居住地で共存していますね。
  • ジブリのなかでも、人間と動物の共存について考えさせられる物語です。こども達も真剣に楽しみながら見てましたが、タヌキと人間どっちが悪いと思う??と聞くと凄く悩んで考えました。どちらが悪いとも言えず、本当に考え深い作品です。何度も見返したくなります。これから先ずっとずっと、伝え続けてもらいたい作品です。きっと、見た後に、何かしら心に残るものがあります。子供からお年寄りまで楽しめるジブリ作品は素晴らしいです。

かぐや姫の物語の作品情報

かぐや姫の物語のジャケット写真

レンタル開始日
2014/12/17
監督
高畑勲
出演(声)
朝倉あき 高良健吾 地井武男 宮本信子 高畑淳子 田畑智子 立川志の輔 上川隆也 伊集院光 宇崎竜童 二代目中村七之助 橋爪功
上映時間
137分
かぐや姫の物語のユーザ評価

評価数:3288件
評価 :★★★☆☆(3.5/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 素晴らしいの一言。 一体何枚のフレームを描かれたのだろうか? 手書きのためか背景が絶え間なく動いている。これがまた躍動感を演出させている。 高畑監督のなかでももっとも好きな作品です。
  • この作品を観た人は、ぜひ雨宮まみさんのブログも見て頂きたい。理解が深まる上に、一つ一つの文章の重みを感じる。
  • 素晴らしい作品です。それぞれの心情が時の流れとともに細やかに描かれていて、音楽がより気持ちを高めてくれます。かぐや姫の声もとても合っていて、喜怒哀楽に引き込まれました。エンディング曲は切なくてまた泣けてきます。高畑監督作品のNo.1です。 このあと、作品が出来るまでのDVDをみるとより深く感動できます。

この世界の片隅にの作品情報

この世界の片隅にのジャケット写真

レンタル開始日
2017/09/15
監督
片渕須直
出演(声)
小野大輔 潘めぐみ 能年玲奈 尾身美詞 細谷佳正 稲葉菜月 牛山茂 新谷真弓 小野大輔 岩井七世 小山剛志 津田真澄 京田尚子 佐々木望 塩田朋子 瀬田ひろ美 たちばなことね 世弥きくよ 渋谷天外
上映時間
126分
この世界の片隅にのユーザ評価

評価数:3887件
評価 :★★★★☆(4.2/5)

ゲオユーザの評価・ネタバレ
  • 火垂るの墓と双璧になる作品です。あ、この手があったか〜って 苦労、悲惨、苦労、…なら見てて疲れます。その中でも一筋の笑いが入ると、こんなにも疲れずに見れるとは! 昭和が、火垂るの墓なら、平成はこの作品って位置づけかな~オススメです。
  • 前半の印象は「戦争をノスタルジーで語るな」だったが、後半の展開で吹き飛んだ。戦時下、市井の市民の九割の絶望と一割の希望。爆弾を落とした米国民に観て欲しい。
  • 戦争を知らない私たちに、シンプルで綺麗に伝えて教えて今の自分を悔い改めさせてくれる、 内包物の全くないダイアモンドの結晶のような作品です。 どれほどの資料や情報を集め学ばれたかは、 このバリアフリーなシナリオや描写で悟れます。 今、人知れず苦しんでいる方、大切な人を亡くされた方、 人生の壁にぶちあたっている方、活きる原動力になることを願い、この作品をオススメします。